日銀10月「追加利上げ見送り」
政策運営方針は7月時点へ「回帰」
日本銀行は10月30~31日に開催した金融政策決定会合で、政策金利(短期金利誘導目標)の「据え置き」を決め、9月決定会合に続いて追加利上げを見送った。
同時に公表した「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)では、個人消費の回復を主因に足元の景気判断を上方修正、賃金と物価、経済の好循環の動きは続いているとして、全体としては前回(7月)時点での見通しを維持した。
その上で、植田和男総裁は、決定会合後の記者会見で、「景気や物価の見通しが実現すれば、政策金利の引き上げを通じて金融緩和度合いの調整を進める」と語った。
3月のマイナス金利解除に続く7月利上げの後、株式や為替市場が不安定化、日銀はその後、市場の安定を重視する姿勢を強調してきたが、植田総裁は、今後については、毎回の決定会合ではそれまでの経済指標を点検した上で金融政策を決定するという「データ重視」の原則を強調。また直近まで言及していた、次の利上げ判断まで「時間的な余裕がある」という考えも修正した。
追加利上げを決め、「連続利上げ」にも言及した7月会合時点での戦略への「回帰」といってよい。