東京債券市場で長期金利が0.700%に上昇したことを示すモニター東京債券市場で長期金利が0.700%に上昇したことを示すモニター=9月11日午前、東京都中央区 Photo:JIJI

長期金利0.700%台、9年8カ月ぶり水準
日銀と長期金利の新たな距離感は?

 9月11日の東京債券市場は、長期金利の代表的な指標の新発10年物国債の流通利回りが一時、0.705%まで上昇(債券価格は下落)、2014年1月以来、9年8カ月ぶりの水準になった。

 金融市場では日本銀行が7月の金融政策決定会合でイールド・カーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の運用を「柔軟化」したことで、金融政策正常化の第一歩との見方が浮上し、長期金利の上昇につながったが、直近の植田和男総裁のインタビュー記事を機に政策修正の動きが想定より早まるとの見方がでた。

 ただし昨年12月のYCCの修正の際のように10年国債の利回りが日銀が設定した上限に張り付くことにはなっていない。10年国債の利回りは足元までは0.6%台の中盤付近で推移し、日銀が許容するとしている1%を明確に下回る状況だ。

 米欧に比べてインフレ圧力が弱いなどのためで、これらの環境に変化がなければ、YCCの運営をさらに「柔軟化」することも可能となる。

 例えば、日銀は、長期金利が新たな防衛線である1%に接近した場合にも、それが景気や物価のファンダメンタルズの好転を反映し、かつ緩やかなペースであれば、指し値オペのような強力な対抗措置でなく、長期金利の変動を円滑化するための限定的な国債買い入れで応じることもできる。

 こうして国債の買い入れを減らし日銀が国債市場から徐々に撤退を進めていくことができれば、結果として、短期の政策金利の上げ下げを唯一の政策手段とし、長期金利の形成は金融市場に完全に委ねる金融政策の枠組みに移行することも展望できる。

 この枠組みは長らく続いた低インフレの以前にはむしろ一般的だったので、その意味で政策手段ないし政策思想の正常化ともいえる。

 だがそこまでを視野に入れることができるのか。