日本人は円高恐怖症だが、金融政策を運営する日銀にもまた同様の傾向が見られる Photo:PIXTA

為替の動きに翻弄される日本銀行
今年の金融政策運営「3つの課題」

 2020年の日本銀行の金融政策運営には、3つの大きな課題がある。第1が為替依存からの脱却、第2が財政政策との適切な関係維持、第3が正常化への道筋、の3点だ。

 2019年は、FRB(米連邦準備制度理事会)、ECB(欧州中央銀行)など主要中央銀行が金融緩和を実施する中、日本銀行は本格的な金融緩和策の実施を見送った。有効な金融緩和手段が残されていないうえ、仮に追加緩和を実施すれば副作用が効果を上回ることを、日本銀行が十分認識していたためだ。

 しかし、一定の条件の下では、日本銀行は今後、追加緩和の実施を余儀なくされよう。条件のうち最も重要なのは、円高進行である。現在の水準から円高ドル安がある程度進んでも、日本企業の国際競争力が大きく損なわれる水準までには、なおかなりの距離がある。しかし国民は、円が対ドルで100円という心理的な節目に近づく、あるいはそれを超えれば、日本経済に深刻な打撃を与えると考える傾向が強い。

 円高には、輸入される食料品やエネルギー関連品の価格下落などを通じて、国民生活にプラスとなる面も、決して少なくない。しかし国民は、円高のマイナス面ばかりに注目する傾向がある。円高が輸出企業の活動に打撃を与え、それを通じて経済全体に悪影響を与える、との考えが強い。

 国民がそのように考えるようになった原因の1つは、主要株価指数の反応にあるのではないか。そうした株価指数には大手輸出企業の銘柄が多く含まれるため、円高が進むと輸入代金の円換算での目減りという一時的な業績悪化要因を織り込んで、株価指数が下落しやすいのである。