日銀に残された追加緩和策とは何か
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フォワードガイダンスの
修正で「時間稼ぎ」の日銀

 FRB(米連邦準備制度理事会)が、7月にも利下げ(政策金利引き下げ)に動くとの観測が強まるなか、日本銀行もそれに続くのではとの見方が出ている。

 確かに、日本銀行が早ければ年内にも追加緩和に踏み切る可能性はそれなりに高まったと思うが、単純に米国に追随するというわけではないだろう。利下げ余地が2%以上ある米国とは異なり、利下げやその他追加緩和手段が限られるなか、日本銀行はできるだけ緩和カードを温存したいと考えているはずだ。

 緩和カードを温存したい日本銀行にとって、そこまでのつなぎ、いわば時間稼ぎの施策として活用を検討しているのが、フォワードガイダンス(政策方針)の漸次的修正なのではないか。

 4月の決定会合で日本銀行は、政策金利のフォワードガイダンスについて、「当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持する」との文言に、「少なくとも2020年春頃まで」という文言を加えた。これによって、「当分の間」という曖昧な時間軸をより明確化させたのである。

 この時間を明示したフォワードガイダンスは、将来的には、正常化の局面で金融市場との対話を強化して、市場の安定を維持しながら正常化を円滑に進める手段として使うことが、意図されているのではないか。

 しかし短期的には、一種の緩和手段として使うことができるだろう。たとえば、この先景気減速や円高が進む場合には、「少なくとも2020年春頃まで」という現在の時間軸を、「少なくとも2020年後半頃まで」などと延長することで、イールドカーブのフラット化を促し、円高をけん制することもできるだろう。

 フォワードガイダンスの時間軸延長という手法は、日本銀行と同様に本格的な追加緩和策をできるだけ温存したいと考えるECB(欧州中央銀行)が、すでに採用している。今後は、日本銀行とECBとが時間軸の延長を競うような状況になるかもしれない。