
宇野 輝
銀行預金の金利がほぼゼロに近い状態が約20年近く続いている。その結果、本来国民が受け取るべき金融資産所得が失われた。その所得はどこへ消えたのかを明らかにするとともに、得べかりし所得を復活させるための方策を示唆する。

SBIホールディングスによる新生銀行への株式公開買い付け(TOB)は、銀行業界で初の「敵対的TOB」に発展した。異例の事態だが、筆者はこれに賛同している。SBIが描く、新生銀行を中核とした地銀連合構想が実現すれば、弱小地銀の再生や公的資金注入行からの資金回収の可能性が出てくるからだ。その論理的根拠をお伝えする。

ゆうちょ銀行の常務執行役をかつて務めた筆者は、遅々として進まない「ゆうちょ銀行の民営化」に危機感を募らせている。そして本稿では、日本郵政が持つゆうちょ銀行株の売却に向けて、5月にかんぽ生命保険が実施した自社株買いのスキームを使うことを提言する。

コロナ禍で日本がデジタル後進国だという事実が露呈した。その象徴の1つがキャッシュレス決済比率の低さだ。そこで、住友銀行(現三井住友銀行)やゆうちょ銀行、三井住友カードで得たリテール金融の知識や経験を基に、日本でキャッシュレス社会を実現するための「5つの解決策」を提示したい。

菅義偉新首相は「縦割り行政の打破」を掲げて日本のトップの座についた。そんな菅首相にとってキャッシュレス化政策の改革は、その手腕を発揮するための絶好の舞台といえる。キャッシュレス化は、3省庁にまたがる省益と2つのガラパゴス問題という根深い問題を解決しなくては推進できない政策だからだ。
