
星野卓也
トランプ米大統領が日本への新たな相互関税率として25%を通告したが、自動車関税25%、鉄鋼・アルミ50%と合わせて日本製品への実効関税率は26%程度と相互関税導入前の約16倍に跳ね上がる。発動となれば自動車を中心に幅広い産業で対米輸出の打撃となりそうだ。日本政府は8月1日の実施猶予期限までに再交渉を進める方針だが、実質的な時間は20日の参院選投開票日以降の10日ほど、米国に見直しを検討させる「カード」も限られている。

トランプ関税を巡る日米の見直し交渉は自動車25%関税や米国のデジタル黒字の評価などで双方に隔たりがあり米国側が相互関税の停止延長を示唆するなど長期化の様相だ。現状は日本の自動車企業などが関税引き上げ分を販売価格に転嫁せず負担をかぶっているが、長期化となれば「値上げ回避」も限界になり、インフレ再燃など米経済への影響も表面化する懸念がある。

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トランプ相互関税で日本の対米輸出のマイナス効果は4兆~5兆円程度と見込まれるが、トランプ政権の狙いは米国の貿易赤字縮小のため世界の経済や貿易の再構築をすることだ。影響は長引くと予想され、輸出企業は対米輸出依存引き下げやサプライチェーン再構築などの中長期戦略が重要だ。

日米首脳会談は、懸念していた関税引き上げは回避され日本製鉄の「USスチール買収」も打開策の可能性が示唆されるなど日米の連携重視が基調となった。だが対中、メキシコへの関税実施やドル安志向など日本経済にはトランプ政策の「3つの波及経路」による不透明要素が残る。

トランプ新政権の政策では保護主義と脱炭素政策転換、大規模減税が世界や日本経済にとって影響が大きいが、いずれもどこまで実施されるかなどで不確実性が高い。日本にとっては関税引き上げや環境政策で自動車産業、財政赤字拡大による為替相場への影響や混乱が懸念される。

米国の通商政策は、ハリス氏、トランプ氏のどちらが勝っても、対中国を中心に関税引き上げなどの保護主義が続く。トランプ政権による全ての国への「一律関税」が実施されれば、米国が最大の輸出先の日本は、自動車を中心に影響が大きい。自動車は中国製電気自動車(EV)の規制問題などでも影響が懸念される。

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米国の通商政策は、ハリス氏、トランプ氏のどちらが勝っても、対中国を中心に関税引き上げなどの保護主義が続く。トランプ政権による全ての国への「一律関税」が実施されれば、米国が最大の輸出先の日本は、自動車を中心に影響が大きい。自動車は中国製電気自動車(EV)の規制問題などでも影響が懸念される。
