トランプ“新関税”で日本製品の関税率は16倍、関税額「5.5兆円」に!?再交渉に時間もカードも少ない日本Photo:Bloomberg/gettyimages

日本への新たな相互関税率「25%」を通告
8月1日期限までに再交渉期間は約10日

 トランプ米大統領は7月7日、日本からの全輸入品に対して8月1日から25%の関税を課す方針を正式に通告した。これは、4月に発表された「相互関税」政策の一環であり、当初、示していた24%の相互関税率を若干とはいえ上回るものだ。

 相互関税は4月2日に発表され、10%の一律関税は実施されたものの、上乗せ税率(14%)については90日間停止され、日本政府との見直し交渉期間が設けられていた。猶予期間は7月9日に期限を迎える予定だったが、交渉は合意に至らないまま、トランプ大統領はSNSで書簡を公開する、一方的な通告だった。

 書簡を最初に受け取ったのは日本と、同様に25%の新税率を示された韓国で、そのおよそ2時間後には、マレーシア、カザフスタン、南アフリカ、ミャンマー、ラオスなどにも同様の書簡が送られ、第1弾として計14カ国に最大40%の新たな関税率が通知された。

 実質的には交渉期間の延長という見方もできなくはないが、トランプ大統領は、関税の見直しについて「各国が十分な譲歩を提示した場合のみ」応じる姿勢を崩しておらず、事実上、各国に譲歩を迫る「最後通告」の性格を持つものとなった。

 今回の25%関税は、自動車や鉄鋼・アルミニウム製品などの既存の分野別関税とは別枠で適用される。仮に8月1日から実施となった場合、筆者の試算では、自動車関税25%、鉄鋼・アルミ50%とあわせると、日本製品に対する実効関税率は26%程度、金額では5.5兆円程度となる。

 日本政府は再交渉を進める方針だが、日本側の主張してきた自動車関税も含めたトランプ関税の引き下げ・撤廃がされる可能性はかなり低いのではないか。

 日本には、時間も交渉のカードも限られている。