「2年以上」「頻繁な活動」をした子は将来の収入が高い
なにかをしているときにどう感じるかも大切だが、長期的な効果はどうだろうか?課外活動を続けると、何らかの測定可能な効果が生じるのだろうか?
課外活動を積極的に行っている子どもたちのほうが、課外活動をあまり行っていない子どもたちよりも、学校の成績がよく、自尊心も高く、問題を起こすことも少ないなど、さまざまな点で優れていることを示す研究は、枚挙にいとまがない。
そのうちの数例は長期研究であり、子どもたちが成長しておとなになったときに、どんな影響が表れているかを調査したものだ。長期研究はいずれも同じ結論に達していた。課外活動に多く参加するほど、よい結果が出ていたのだ。
研究でさらに明らかになったのは、課外活動をやり過ぎるケースはめったに見られないことだ。現在、平均的なアメリカのティーンエイジャーは、テレビやゲームに1日3時間以上も費やしている。さらにSNSをチェックしたり、友だちにペットの猫の動画をメールで送ったり、話題のファッションをチェックしたりしているうちに時間はどんどん過ぎていく。
チェスクラブや、学校の演劇や、習いごとや部活動に参加する時間がなくなってしまうのも当然だろう。おとなの指導のもとで体系的な練習に取り組んでスキルを磨く経験をする機会が、ほとんどないのだ。
それでは「やり抜く力」は身につかないのではないのだろうか?数ヵ月どころか、何年もかかってようやく達成できるようなことに取り組まなくていいのだろうか?
「やり抜く力」がひとつの目標にじっくりと取り組むことを意味し、課外活動は「やり抜く力」を身につけるのに役立つなら、課外活動は1年以上続けた場合にとくに大きな効果が得られるのも、理にかなっている。
実際に、私が「やり抜く力」の鉄人たちに行ったインタビューのなかでも、「来年までにはもっとうまくなりたい」と思ってがんばったことで、努力を続ければ結果が出ることを学んだ、というエピソードはたびたび出てきた。
長期間の課外活動の効果を示す、さらに有力な証拠として、コロンビア大学の心理学者マーゴ・ガードナーと共同研究者らによる研究がある。ガードナーらは1万1000名のアメリカの十代の若者たちを対象に、26歳になるまで追跡調査を行った。高校で課外活動に2年間参加したケースと1年間参加したケースを比較し、おとなになった時点で、その効果にどのようなちがいが見られるかを検証したのだ。
結果はつぎのとおりだった。高校で課外活動を1年以上続けた生徒たちは、大学の卒業率が著しく高く、コミュニティのボランティア活動への参加率も高いことがわかった。
さらに、課外活動を2年以上続けた生徒に限って、1週間あたりの課外活動時間数が多かった生徒ほど、就業率も高く、収入も高いことがわかった。
(本連載は書籍『やり抜く力 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』より抜粋しています)