世界の心理学者が長年追求してきた「人生で成功するのに最も重要なファクターは何か?」がついに研究で解明された!ビジネスリーダー、エリート学者、オリンピック選手……成功者の共通点は「才能」でも「IQ」でもなく、もうひとつの能力「グリット」だった――。これまでの能力観・教育観を180度くつがえし、世界的ベストセラーとなっている『やり抜く力 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』から、その驚くべき内容を紹介する。
習い事が「グリット」という能力を伸ばす
ある日、当時4歳だった娘のルーシーがキッチンのテーブルに座って、レーズンの小さな箱を開けようとしていた。お腹が空いてレーズンを食べたいのに、箱のてっぺんの部分がどうしてもうまく開けられない。1分ほどすると、娘はためいきをついて箱を置き、向こうへ行ってしまった。
そのようすを隣の部屋から見ていた私は、ぎょっとして思わず息を呑んだ。レーズンの箱も開けられないなんて、何て根気がないんだろう!こんな調子で大きくなったら、「やり抜く力」が身につくはずがない。私はルーシーのあとを追いかけて、「もういちどやってみようよ」と励ました。温かくも厳しく言って聞かせようと、がんばってみた。しかし、娘は頑として「もういい」と言って聞かなかった。
近所にバレエスタジオを見つけ、娘をかよわせることにしたのは、それからまもなくのことだ。私も多くの親たちと同じように、バレエや、ピアノや、フットボールなど、体系的な練習が必要な課外活動は「やり抜く力(グリット)」を伸ばすのに効果的だと思っている。こうした課外活動には、ほかの活動にはない重要なふたつの特徴がある。
ひとつは、親以外のおとなの指導を受けること(温かくも厳しい指導者が望ましい)。もうひとつは、このような活動に取り組めば、興味を深め、練習に励み、目的を持ち、希望を失わずに取り組むことを学べるからだ。バレエスタジオ、リサイタルホール、道場、競技場などは、いずれも「やり抜く力」を鍛える場所と言える。