「有名人=誰もが知っている人」という定義は過去のもの。SNSや動画サービスなど、メディアが多様化した現代では、「若者だけが知る有名人」が存在する。10~20代の心をがっちりとつかむのはどんな人なのか。彼らが人気を得ている理由は何なのか。聞き込み調査を行いながら、若者だけが知る有名人を紹介したい(取材・文/有井太郎、編集協力/プレスラボ)
なぜ若者だけしか知らない
限定的な有名人が生まれるのか
「ねえ、最近よく出るこの若い人って誰? どこで有名になった人?」
テレビやインターネットのニュースで、自分の知らない有名人を見かける機会が増えたと感じることはないだろうか。「最近テレビ見てないから」「あんまり興味ないから」と考えがちだが、理由はそれだけではないかもしれない。
過去の有名人といえば、「テレビや雑誌、新聞に出ていること」が定義に近かったはず。しかし今は違う。現代にはテレビ以外のメディアがたくさんある。ユーチューブやインスタグラム、ツイッターなど。これらは10代、20代において非常に身近なメディアであり、そこで人気に火がつく人は、全世代が共有しない、若者だけが知る有名人になりやすい。
例えば先日、ユーチューブなどで若者に人気を博していた「あやなん」が炎上したと聞いた。若者の間で話題となったが、30代の筆者はそんな騒動まったく関知していなかった。そもそも、あやなんという人自体を知らなかったのだ。しかし、あやなんのツイッターフォロワーはおよそ13万人。体操の金メダリスト、内村航平選手のフォロワーが12万5000人ほどであることを考えれば、その人気ぶりがよくわかる。
こういった有名人に着目していくと、多少なりとも若者がどんなことに興味を持っているか探れる気もする。単純に、若手社員や営業先で話す際のネタにできるかもしれない。その考え自体が若者から疎まれそうな気もするが、とにもかくにも「若者だけが知っている有名人」について、筆者の周りにいる10~20代の聞き取り調査をもとに紹介したい。
芸能事務所にいた頃より有名に
大食い動画の「木下ゆうか」
若者だけが知る有名人を輩出するメディアとして、特に多いのがユーチューブだ。自分で動画をつくり配信する“ユーチューバー”は多く、今や「若者だけ有名人」の登竜門ともなりつつある。