異質な人と接して、異質な視点を持つ努力をする

御立 コンサルタントの仕事をしていると、さまざまな企業でいろんなことが起こっているのを目にするので、何がその会社特有の出来事で、何がよくある話なのか、っていう相場観が身につくんですよね。でもサラリーマンをやっていると、この感覚がなかなか持てない。

 ですから若手の方がもう一段上を見ていこうと思ったら、違う会社に行っている友だちとか、違うビジネスをやっている人の話を聞いたほうがいい。医者でもラーメン屋でも何でもいんだけど、「違うことをやっている人って何を考えているんだ?」ということを知ると、人は強くなると思うんです。

山梨 その通りだと思いますね。違う世界の人から聞いた話や知識というのはヘテロジニアス(異質)なものですからね。逆に組織というのはホモジニアス(同質)なものですから、その中でヘテロジニアスなものを持っていると、新しい価値観や考え方を提供できる源泉になります。そして自分自身も、ちょっと余裕を持って仕事ができるようになるんじゃないかと思うんですよ。

 仕事をしていると山あり谷ありですが、谷に陥ったときも、「これは自分のいる組織では大変な谷に思えるけど、違う世界ではよくあることだったり、逆に山なんじゃないか」とか、物事を多面的に捉えられるようになると、気持ちもラクになる気がします。

トップコンサルタントが膨大な仕事からつかんだ「いい努力」とは?

御立 そうですね。よく経営者の人に愛読書を聞くと、歴史の本を挙げる人が多いんですよね。その理由は、自分が何か困難な状況にハマったとき、同じ状況をこうやって乗り越えた人がいるだとか、よく考えれば全然違う捉え方もあるなとか、そういう多面的な見方のヒントがあるからじゃないかという気がします。もちろん歴史本じゃなくても、何でもいいんです。要はどれだけ、「自分には違う世界があるんだ」という感覚を持っていられるか。それが“余裕”になるんでしょうね。

山梨 リーダーはもちろん、若い方でも多面的な視点を持つ努力をしたほうがいいように思いますね。学生時代の友だちであったり、あるいは自分とまったく違う世界、たとえば芸能でもスポーツでも何でもいいですが、あらゆるところから自分の世界とは違う知識や考え方を得るのはとてもいいことです。