そんななかで通常の3~5倍の客が押し寄せた店舗がある。レンタルビデオショップである。地上波テレビではレギュラー放送が見られず、繁華街も派手な騒ぎができそうにない。しばらくは家にこもることを決め込んだ人たちが殺到したのである。

 ちなみに、2011年3月の東日本大震災の時も、地上波テレビはCMナシ、ニュースのみの放映が1週間ほど続き、世の中は自粛ムードに覆い尽くされたが、どの新聞を見てもレンタルビデオ店が盛況との報道はない。

 なぜなら、地上波に代わるチャンネルが既にたくさん存在したからである。BSは1989年から、CSは92年からサービス開始。日本でインターネットの商用利用が始まったのは93年から、インターネットで有料動画配信が始まったのは2000年代前半だった。

 東日本大震災は放射能汚染問題が広域で発生するなど、まさに未曾有の大災害だった。だから、エンタメやスポーツを見ているような場合じゃなかったという指摘も当然あるだろうが、平成初頭はまだ地上波一辺倒時代。メディアのありようが、今とはまるで違っていたこともまた確かである。

 付け加えれば、レンタルビデオの市場(レンタル向けソフト売上高)も統計が取られている1991年以降、半減となっている(日本映像ソフト協会調べ)衰退産業である。

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 こうして自粛ムード一色で始まった「平成」ではあるが、経済面ではバブルの真っ只中だった。政府によるバブル退治が一斉にはじまったのが1989年12月である。

 新聞広告からいくつか事例を集めてみると、

・東急東横線祐天寺駅徒歩3分、64.28平米~131.96平米のマンションが1億4070万円~3億5409万円(現在6000万円強:以下、現在価格は各不動産サイトによる)

・JR中央線武蔵境駅徒歩14分、86.54平米が9454万円(現在4000万円弱)

・東京メトロ(当時は営団地下鉄)六本木徒歩11分、111.13平米のマンションが8億5260万円、165.80平米が14億7175万円(現在2億5000万円前後)

・東急目蒲線(当時)鵜の木駅徒歩5分、84.41〜125.74平米のマンションが最多価格帯1億2000万円。分譲価格最高値は約7億円、販売の申込倍率は最高で300倍に達して話題となった。(現在6000万円前後)

・東急東横線中目黒駅歩7分、87.94平米のデザイナーズマンションが2億3000万円(現在7000万円前後)