季語ランキングでわかった
マジメ芭蕉とオトボケ蕪村

 それでは、最後に、私が整理した古典のキーワードランキングを紹介しよう。  そんなに短くて成り立つのかと思える五七五の俳句が我が国独自の短詩形式として確立しているのは季語があるからである。俳句は、四季に寄せる日本人の生活感に根ざしながら、古代以来の言霊(ことだま)の伝統を再興させた詩形式である。

 松尾芭蕉と与謝蕪村がどのような季語を多く使ったかを知るため、芭蕉俳句の5句以上と蕪村俳句の20句以上の季語のランキングを作成し、春夏秋冬別に多い順に並べた(図3参照)。元資料には季語索引があるので、元の句に当たって一から数え上げる必要はなく、索引に掲げられた句数をカウントするだけで済んでいる。

◆図3 芭蕉と蕪村の季語ランキング

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 各々の出典によれば蕪村の俳句は全部で2871句、芭蕉は976句であり、蕪村の方が約3倍(2.94倍)である。これは、芭蕉が51歳で亡くなったのに対して、蕪村が68歳まで長生きし、作句期間に違いがあったこと。さらに芭蕉が「一句をどこまでも深く掘り下げ掘り下げしていくタイプの作家」だったのに対して、蕪村が「一つの題に応じて十句でも二十句でも豊麗な詩想を展開してみせ」るという作句スタイルの違いによるものである(尾形仂「芭蕉・蕪村」)。