世界のインスタントラーメン消費量の半分近くを占める「インスタントラーメン大国」である中国だが、ここ数年、国内のインスタントラーメン市場は生産量、販売額、販売量のどれも減少に転じている。国内市場が不振に陥っている原因はどこにあるのか。
小腹が空いたとき、懐が寂しいときにインスタントラーメンのお世話になる方は多いかもしれない。中国でもインスタントラーメンは、残業する会社員の夜食として重宝され、所得の低い出稼ぎ労働者にも支持されている。また、国内旅行に行くとき列車内で割高な弁当を買わず、安価なカップラーメンで済ます人も少なくない。
中国でのインスタントラーメンの生産は1964年から始まったといわれているが、生産が加速したのは改革開放後である。当初は贅沢品の部類に入っていたが、市場経済を基礎にした経済改革の深化に伴う企業の経済活動の活発化によって価格も下がっていき、現在は人々にとって身近な食品になっている。
これは日本も同じで「チキンラーメン」が登場した当時、価格は当時としては割高の35円だったが、それ以降、安価な商品というイメージが定着し「国民食」となっていく。中国は日本の道をたどっているといえる。
インスタントラーメンの魅力は「調理に手間がかからないこと」と「安さ」である。一般的なインスタントラーメンは2.6元(1元=約15円)ほどで、高めのものでも5元ほどだ。それゆえ、幅広い層から支持され、「インスタントラーメン大国」の地位を築いた。
だが、中国国内のインスタントラーメン市場は活況とはいえない。9月26日付の『北京震報』によると、2015年の中国国内のインスタントラーメン生産量は昨年に比べ8.54%減の362億食で、販売額は昨年より6.75%減の490億元であり、販売量も4年連続減少している。
消費量を見ると、2013年の462億食をピークに減少し、2015年は404億食となっている。だが、消費量2位であるインドネシアの同年の消費量は132億食、3位の日本は55億食(世界ラーメン協会のデータ)で、世界の消費量の半分近くを占めており、国内の市場は不振だが、世界レベルで見ると「インスタントラーメン大国」の地位はまだ保っている。