歌舞伎役者の中には
地方出身者もたくさんいる
おくだ 今年のプロ野球日本シリーズは広島カープと、北海道日本ハムファイターズの対決で盛り上がりましたね。地方都市同士の戦いで、最終的には札幌が勝ちましたが、25年ぶりにセ・リーグ優勝したカープの盛り上がりはなんなんだろうと興味を持ちました。
私は名古屋の人間なのでずっとドラゴンズを応援してきたのですが、今年は、ナゴヤドームにカープ戦を見に行きました。カープに地方の活性化のヒントがあるのではないかと思うのです。
1955年北海道生まれ。中央大学商学部卒。マイクロソフト日本法人社長を経て、投資コンサルティング会社インスパイア取締役ファウンダー。書評サイト「HONZ」代表。『本棚にもルールがある』(ダイヤモンド社)『ビジネスマンへの歌舞伎案内』(NHK出版)『教養は「事典」で磨け』(光文社)など著書多数。
Photo by Kazutoshi Sumitomo
成毛 地方といえば、歌舞伎は基本的に東京(歌舞伎座や国立劇場)や京都(南座)など、特定の場所で好演されるのが一般的です。あとは、おくださんの地元の名古屋と大阪、福岡くらいでしょう。
そう考えると、地方で生まれ育って、歌舞伎の研修所に通って歌舞伎役者を目指そうという若者は、いつそのきっかけを得るんでしょうね。
おくだ 大歌舞伎が江戸のものであるのは事実です。でも、地方出身の歌舞伎役者はたくさんいますし、案外と地方との関係もあるんですよ。成毛さんは「地芝居」ってご存じですか。
成毛 江戸時代のうちに、都市部から伝わった歌舞伎が、各地で上演されるようになったもののことですよね。
おくだ 今、中村吉右衛門さんのところにいる中村吉助さんは第21期の研修所修了生ですが、彼はもともと、群馬の地芝居のスターだったんですよ。私も彼の出演した芝居を見たことがありますが、その頃から舞台映えする俳優でした。