大企業の同世代がつながるプラットフォーム
「One JAPAN」始動
パナソニック株式会社コーポレート戦略本社人材戦略部 主務(特命担当)/One Panasonic Founder 1982年生まれ。2006年、パナソニック入社。テレビ事業部やインド事業などを経て、「事業は人だ」と確信し、社内公募で人事部門に異動。並行して、社内で部門の垣根を越える「横のつながり」をつくるハブ組織「One Panasonic」を立ち上げる。2016年9月、大企業30社の若手有志をつなげる「One JAPAN」を設立、各メディアから高い注目を集めている。
【右】斎藤祐馬(さいとう・ゆうま)
トーマツベンチャーサポート株式会社事業統括本部長。公認会計士。1983年生まれ。中学生のとき、脱サラして起業した父親が事業を軌道に乗せるのに苦労している姿を見て、ベンチャーの「参謀」を志す。2006年、監査法人トーマツ(現・有限責任監査法人トーマツ)入社。2010年、トーマツベンチャーサポート株式会社の再立ち上げに参画。現在は、「挑戦する人とともに未来をひらく」というビジョンのもと、国内外で奮闘する100名以上のメンバーとともに、ベンチャーだけではなく、大企業、海外企業、政府、自治体などとも協働し、自らのミッションを生きる日々を送っている。起業家の登竜門「モーニングピッチ」発起人でもある
斎藤 先ほど「One JAPAN」という言葉が出てきました。これも読者にとっては非常に気になるものだと思います。
濱松 2016年9月、大企業の同世代で同じ問題意識を持つ有志が集うOne JAPANという団体を立ち上げました。現段階では大企業に所属していて思いのある20代、30代の有志のプラットフォームにしたいと考えています。大企業に所属していること、若手であること、有志であることだけが参加の条件です。ただ、個人参加になると普通の異業種交流会と変わらないので、同じ企業の仲間を巻き込んで、団体として参加できる人に集まっていただいています。何かを変えてくださいと依頼するのではなく、自分たちで主体者意識をもって考え、実践する人の集まる場にしたいので、そうしています。
One JAPANが考える課題認識は、大企業に代表される症状、いわゆる「大企業病」です。言い出せばキリがないですが、たとえば大企業からイノベーションは起こせない空気、人と違うことや前例のないことをやってはいけない空気、そして、その空気を読むこと、など……。
でも、つい先日実施した、One JAPANの代表者ミーティングで、各社・各団体の活動から見えてきたことがあります。それは、一人ひとりが刺激を受けて、勇気を得て希望を見出し、思い切って行動・挑戦してみることで、全体の空気が変わり、なんだかやれる気がしてくる、ということ。そしてそのことは、若手だけでなく、ミドルマネジメント層や経営者をも巻き込むうねりになりそうな予感がありました。One JAPANでこれらをスケールしていく。まさに、空気をつくっていくのです。
こういう話をすると、世の中には「具体的なアウトプット派」と「土壌づくり派」がいます。でもこれってどちらも大事なんですよね。どちらか一方ではいけない。だから、One JAPANがさまざまなところと連携・協働しながら、両輪を回していく。その両輪を回す手段・テーマとしては、新規事業、新しい働き方の実践、白書、メディアを通じた発信、社内外プロジェクト企画・実行といったことを考えています。
斎藤 One JAPANという名称には、どのような意味を込めたのでしょう。
濱松 Oneは、「1つになること」と「個人」という意味です。志や熱量の高い人たちが1つになること、また、個々人が「自分ごと」として考え、実践するという意味を込めています。JAPANには、「日本をよくする」、「日本から社会をよくする」、2つの意味を込めています。
今は大企業の20-30代と限定していますが、その人たちが、そして個々の企業が志を持って、周りを巻き込みながら、協働・共創して、日本を、社会をよくする、そんな団体にしたいと思っています。