アッという間にできて、ビールにぴったり!
「塩鶏こしょう鍋」
思い立ったら、無邪気に行動するのが正解だ。
そこで、思い切って、大人気料理家である小田真規子先生に連絡をしてみた。
2016年に出版した『この「ほめ言葉」が聞こえるレシピ』と『一日が幸せになる朝ごはん』(ともに文響社)がベストセラーになったのみならず、料理・レシピ本大賞2016でダブル受賞をした、いまをときめく料理家である。
そして、「小鍋レシピを教えていただけませんか?」と直球でお願いをしてみた。
料理家・栄養士・フードディレクター。女子栄養大学短期大学部卒業後、料理家のアシスタントを経て、有限会社スタジオナッツ(www.studionuts.com)を設立。誰もが作りやすく、健康に配慮した、簡単でおいしい家庭料理をテーマに、『オレンジページ』『ESSE』などの生活雑誌や企業PR誌にオリジナルレシピを発表。家電、食品、調味料メーカーのメニュー開発、国内各地の産物・加工品の商品開発などもサポートしている。分かりやすいレシピが好評で、NHK「きょうの料理」「あさイチ」の料理コーナーに定期出演。著書は、『つくりおきおかずで朝つめるだけ! 弁当』(扶桑社)、『料理のきほん練習帳』(高橋書店)、『一日がしあわせになる朝ごはん』(文響社)など多数。中学校技術・家庭教科書(平成28年度)でも料理・監修を担当した
すると、小田先生は驚いてこうおっしゃった。
「あら、奇遇ですね。実は、私もここ数年、冬は毎日小鍋なんです」
「ええ!ほんとうですか?」
「はい。仕事で疲れて帰って来て、手軽に、だけどおいしい晩御飯を、と考えると、自然と小鍋になっちゃうんですよね」
「おお、私と一緒です。ただ、私のようなど素人は、毎回、顆粒ダシを使ってワンパターンになってしまうので……」
「それは、もったいないですね。顆粒ダシはもちろん便利なんですが、飽きてしまうんですよね。というのは、顆粒ダシは、1回の食事で人間が“おいしい”と感じ、十分に満足できるように作られているからです」
「なるほど。そこで、お願いがあります。僕でも簡単につくれて、全然飽きない小鍋料理を教えていただきたいんです」
「もちろんです。たとえば……」
こうして、教えてくださったのが「塩鶏こしょう鍋」だ。
具材は鶏肉と白菜だけなので準備は超カンタン。調理開始からほぼ5分で「あとは鍋を火にかけるだけ」の状態になるという。しかも黒こしょうのピリッとした風味がビールにもピッタリ。これは、“晩酌派”の私にはうってつけのレシピだ。
というわけで、早速、翌日、「塩鶏こしょう鍋」をつくってみた。
先生に送っていただいた、完成品の写真はこれだ。
めちゃくちゃうまそうではないか!
やる気満々で、作り始めた。
まず、キッチンに材料を並べた。
鶏もも肉(200~250g)、白菜(1/8株)、塩、みりん、オリーブ油、黒粒こしょう、水。
これだけだ。
まず、鶏もも肉を2センチ幅に切る。
そして、白菜を手頃な大きさに切る。ここで、小田先生からワンポイント・アドバイスをいただいた。
「白菜は、“葉先に近い部分”と“芯に近い部分”を使い分けるといいですよ。“葉先に近い部分はキャベツに近い味わいで、”芯に近い部分“は大根に近い味わいになります。煮える時間にも差があるから、小鍋に入れるタイミングも変えるといいんです。保存するときにもそれぞれ別の袋に入れておくと便利ですよ」
なるほど!
そこで、白菜をザクザクと切って、“葉先に近い部分”と“芯に近い部分”をざっくりと分けて、ざるの上にセットした。
さて、いよいよ調理だ。
まず、小鍋に鶏もも肉を入れる。
重要なのは、ここで塩(小さじ2/3)を鶏肉にふって、よくもみ混ぜることだ。「あらかじめ鶏もも肉に塩をもみ込んでおくことで、鍋の中で鶏のうまみが効いただし出るんです」と小田先生。
鶏肉に塩をもみ込んだら、続いてスープをつくる。
みりん 大さじ1
オリーブ油 大さじ1
黒こしょう 20粒(粗くつぶす)
水 2カップ
これを、小鍋に注ぎ込む。
ここまでできたら、テーブルのコンロにかけて煮込むだけ。
ここでも、ワンポイント!
「鍋に強火は禁物です。火が強すぎると、具材に熱が通り過ぎて、おいしさが半減してしまうんです」(小田先生)
だから、はやる気持ちを抑え、弱火でじっくり煮る。
先ほど切った白菜を乗せたザルもテーブルにもってきておけば、この時点で、ビールをプシュッとできる。そして、ちびちびビールを飲みながら、小鍋が煮立つの待つだけだ。
ここまで、所要時間は約5分。
あっという間にビールにありつけるのだから、ありがたい!
煮立ってきたらアクをとり、弱火にしてさらに5~6分煮る。
その後、白菜の“芯に近い部分”を入れ2分弱煮てから、“葉先に近い部分”を加え、ひと煮したら完成だ。
黒こしょうのピリッとした辛さが効いて、ビールにぴったり。1本、2本と飲み進むが、弱火でコトコトやっていれば小鍋が冷めることはない。なんだか、幸せな気分になってくる。