小沢氏が強制起訴になってみると
将棋や囲碁などの世界には「三手の読み」という言葉がある。自分がこう指す(囲碁の場合「打つ」)、すると相手がこう来るだろう、ならば自分はこう指そう、という一組の思考のことだ。
これが「読み」というものの基本であり、長手数にわたる上級者の読みもこの積み重ねだと教えられる。その原理は簡単なのだが、実践はなかなか難しい。特に、相手がどう来るかというところを正しく読むことが難儀で、三手先といえども正確な読みは難しい。これが、政治の世界ともなると先の読みはますます困難だが、今回、「小沢一郎元民主党代表の強制起訴」という一手が進んだので、今後の局面を考えてみたい。
小沢氏は政界有数の囲碁の打ち手らしいが、今回は主に将棋に譬えよう。
小沢氏自身の状況は、自身が攻めに転ずることは出来ないが、まだまだ粘りがきく穴熊囲いの中の王様のような状況ではないか。相手側が無理に攻めようとすると反動が大きい。
小沢氏に対する周囲の態度は、現在、民主党執行部が小沢氏の自発的な離党と国会の政治倫理審査会への出席を要求しており、有力野党である自民、公明、みんなの党の各党は証人喚問を要求する立場だ。
しかし、自発的な離党も政治倫理審査会への出席も小沢氏が事実上拒否しており、実現の見込みはなく、この攻めは手詰まりだ。
民主党執行部は、これまでの流れからすると、これを除籍や党員資格停止(党からの資金が得られなくなり、選挙で公認されなくなる)にまで持って行く方向に動くのが自然だが、昨年末くらいから「小沢叩き」が内閣支持率の上昇につながらなくなっており、この流れを見た(と思われる)公明党が証人喚問要求に足並みを揃えて反菅政権の立場を明らかにしたことの意味が大きく、これらを実行しても効果がのぞめそうにない。