ほとんどの客室からは美しい日本庭園の眺めが楽しめる

 空路ならコウノトリ但馬空港から10キロという城崎温泉は、歴史的には平安時代から温泉が知られてきた。明治時代は文豪に愛され、志賀直哉は「城の崎にて」を泉鏡花は「城崎を憶ふ」を著している。最近は城崎を舞台にした書き下ろし小説を湊かなえや万城目学らに依頼し「本と温泉」というシリーズの限定発売でも話題になっている。

 柳並木に木造3階建て旅館が立ち並び、浴衣に下駄履きで温泉街をそぞろ歩する人々の姿でも知られている城崎温泉。そこにあって150年の歴史を持つ西村屋本館が2016年9月にルエ・エ・シャトーに加盟したというのが最近のニュースだ。

 ルエ・エ・シャトーは読者もご存知の方が少なくないだろうが、個人・家族経営の高級ホテルや一流レストランが加盟する協会。1954年に設立以来、厳格な審査で加盟会員(ホテルやレストラン)を選んできたことで「ホスピタリティの高さを象徴する協会」として知られてきた。

地元・但馬で水揚げされた松葉カニ

 「駅は玄関、道は廊下、外湯は共同浴場で旅館は客室とまち全体を一つの旅館と考え共存共栄を図ってきた」というのが西村屋本館が紹介する城崎温泉の「思想」という。西村屋本館は武家造りの荘厳さを感じさせる門構えの玄関をはじめ、伝統的な建築技法という当時のおもむきを残すたたずまいが日本旅館建築の傑作の一つと言われている。