慰安婦問題は解決済み
再提起は突っぱねるしかない

 日韓関係をはじめとする、韓国の国内政治上の対立案件が動くのは、大統領選後だと思う。慰安婦問題などに対し、野党の一部は既に合意見直しの圧力をかけているが、朴大統領の帰趨が決まらないうちは本格的に動かないのではないかと予想する。

 朴大統領が憲法裁判所の弾劾決定で失職すれば、当面、日韓関係にとって厳しい状況となると予想する。韓国の国内政治は対立と抗争の歴史であり、大統領が日本との関係重視に向かえば、その反対派は一層反日的な言動をとるようになる。特に、弾劾後の大統領選挙となれば、朴大統領の政治との決別が主要なテーマとなるので、朴大統領が任期の後半、日本との関係を重視してきた姿勢を否定する動きが高まることが予想される。

 ただ、日韓関係はこれまで幾度となく、激しい浮き沈みを繰り返してきた、韓国の国内政治が反日に傾いている時に、日韓関係を軌道に乗せることは不可能である。そのような時には、静かに時が過ぎるのを待つ以外ない。しかし、これまでの例であれば、数年のうちに日韓の雰囲気が好転する時があるので、その時に一気呵成に関係を修復することが賢明であろう。

 最大の懸念は慰安婦問題である。朴大統領の時代、韓国は慰安婦問題の解決に向け、これまでにない努力を払ってきた。その最大のものは韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)、やナヌムの家など慰安婦関係団体で共同生活する元慰安婦以外と接触し、合意受け入れを促してきたことである。その結果、合意当時46人いた元慰安婦(現在は39人)の23人が合意に理解を示し、韓国政府が設立した基金から支給される約1000万円を受け取ったことである。もともと、共同生活する慰安婦は合意を受け入れないであろうが、それ以外の元慰安婦のほとんどが理解を示したということである。

 したがって、韓国の新政権が反朴の立場から仮に問題を再提起しても、この問題は解決済みであり、日本は合意を誠実に履行し、多くの元慰安婦もこれを受け入れたと主張できる。韓国の再提起は突っぱねればいいのである。挺対協はこの問題を日韓でのみ議論しても埒が明かないとして、米国の世論を喚起しようとした。しかし、米国政府は日韓の合意を評価しており、今後慰安婦団体は米国の支援を受け入れないであろう。

 ただ、残念なのは慰安婦を象徴する少女像の撤去は一層遅れざるを得ないだろう。もともと私は、朴政権の努力で慰安婦合意が具体化し、多くの韓国国民がこの問題は解決したと感じた時点で初めて、少女像の撤去を国民に説得できると考えていた。現在、そのような状況を作り出すことは一層困難になっている。