国立代々木競技場
~オリンピック建築史上 トップクラスはこれ~

 日本のモダニズム建築を世界レベルに引き上げた丹下健三の代表作である。1964年の東京オリンピックのレガシーだが、オリンピック建築史上でもトップクラスの傑作だ。実際、建築家としては異例だが、丹下はIOCから特別功労賞が贈られている。

 デザインのポイントは、大きな支柱を立て、それにケーブルを張り、ダイナミックな吊り屋根を成立させていることだ。大胆な技術が曲面をもった造形を導き、構造とデザインが密接に融合したことに加え、日本の伝統的な建築の屋根を意識したことも高く評価されている。つまり、丹下は柱がない大空間をつくるという機能を満たすだけではなく、シンボリックな建築であることも実現した。

 なお、国立西洋美術館が世界遺産に登録されたことを受け、今度は槇文彦、隈研吾らによって、国立代々木競技場を世界遺産にしようという動きが始まった。

設計:丹下健三都市建築研究所(現・丹下都市建築設計)
施工:清水建設(第一体育館)+大林組(第二体育館)
住所:東京都渋谷区
竣工:1964年

ヒルサイドテラス
~日本的な空間もあり考え抜かれた施設~

 土地が断片化して互いに無関係な小さい建築群がうまれるか、あまり特徴のない巨大再開発のどちらかになりがちな東京において、一人の建築家が30年にわたり、居住、商業、文化施設が混ざる街並みを形成した奇跡的なプロジェクトである。地主の朝倉家が槇文彦を気に入り、彼の建築が並ぶストリートが誕生した。

 1969年にA棟とB棟(第一期)、1973年にC棟(第二期)、1977年にD棟とE棟(第三期)、1979年にアネックスa棟とb棟、1987年にホールであるヒルサイドプラザ(第五期)、1992年は通りの反対側にF棟・G棟・N棟(第六期)、そして1998年にヒルサイドウエスト(第七期)が登場している。時代によってデザインのテイストは少し変化しているが、ベースとなるのは洗練された良質なモダニズム。建築群の隙間やつながりに、路地のような日本的な空間を感じられるのも興味深い。

設計:槇文彦/槇総合計画事務所
施工:竹中工務店
住所:東京都渋谷区
竣工:1969年~98年

(イラスト=あべさん)

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