もちろん、岳人さんにとって自動車は生活必需品なので必ず返してもらわなければなりませんが、私物は卒業アルバムや学生時代のCD、そして夏服など今さら多少のお金を受け取ったところで中古品の相当額はたかが知れており、何の足しにもなりません。

 岳人さんは何よりも娘さんのことを最優先に考えていました。「少しでも機嫌を損ねると包丁を持ち出すような母親」と一つ屋根の下で暮らし、常に「また同じことが起こるかもしれない」と心配しながら日々、生活せざるを得ないという最低最悪の環境から、娘さんを一日も早く助け出さなければなりません。

 岳人さんは私物の金銭補償にこだわることで、問題が長期化することを必ずしも望んでいないので、私は「自動車を返してくれるのなら、私物の件はあきらめても良いと提案してみてはどうか?」と岳人さんに策を授けたのです。そして最終的に義理の両親を説得することができました。今現在、岳人さんは娘さんと一緒に、自分の実家で暮らしており、離婚の話を切り出すのは、もう少し落ち着いてからにするそうです。

妻の価値観、行動に実家の後ろ盾
少子化で増える?「娘の離婚」に介入

 このように義母のせいで岳人さん、そして娘さんの人生は完全に狂ってしまったのですが、義理の両親はどのような素性の持ち主なのでしょうか?妻の実家は兼業農家で、義父は市役所をすでに定年退職し、現在は市のシルバー人材センターで働いています。実家は200坪くらいの大きさですべて天然木を使った立派な建物です。義弟も近くに住んでおり、義父名義の土地に家を建てたそうです。「いつでも離婚してやるわ!」が妻の口癖。実家の財産をあてにしているのは明らかで、両親に援助してもらえば妻は働かなくても生活に困らないという感じでしたが、実際のところ、実家にどのくらいの資産があるのか岳人さんは興味もなく、妻に尋ねたこともなかったそうです。

 妻の価値観や考え方、行動パターンに「実家の後ろ盾」が影響しているのは明らかですが、一般的には核家族化が進んでいるから大丈夫だと言い切るのは早計です。なぜなら、少子化によって親が子ども1人にかけるお金や時間、そして愛情が減っているとは限らず、それは「娘の離婚」についても同じことだからです。

(露木行政書士事務所代表 露木幸彦)