それを示したのが、昨年10月に開かれた第18期六中全会で採択された「新情勢下での党内政治生活に関する若干の準則」(以下、準則と略)である。準則は「中国のことをしっかり行うカギは党にある」というフレーズから始まり、主に次のようなことを述べている。

・共産党の理論であるマルクス主義を学ぶこと
・党の規律と規則を遵守すること
・政策や理論面などで党と一致を保つこと
・民主集中制の原則を守ること
・大衆と密接な関係を持つこと
・個人的利益を追求せず公の利益に奉仕すること
・党内に派閥をつくったり、親分・子分の関係などをつくらないこと
・コネなどでの人材登用をしないこと、などである。

 上に挙げた党員・幹部像は自分が社会主義建設の推進役だという信念を持ち、公のために自分を犠牲にする「自己犠牲」の精神をもっている伝統的な共産主義者像だ。こうしたことが今回の全体会議で取り上げられたということは、現在の中国共産党の体質を改善することはもとより、「ポスト習近平」になっても党内がゆるまないようにするため、現在進められている反腐敗、党建設強化の路線を制度化するためであろう。

 準則は、習総書記が演説などで述べた反腐敗や厳しい党内統治に関する言葉が多く使われており、「習路線の制度化」とみてよい。

「反腐敗には終わりがない」
「摘発」から「監督」に注力

 今後は制度化された習路線をより定着させていくだろう。現在、習政権は党の規律と規則に背いた者は、どんな者でも処罰するという「聖域なき摘発」を行っており、側近幹部や取り締まる側の者であっても党規約や規律に反すれば、罰せられる姿勢を全面に出している。

 これまでは「摘発」がクローズアップされていたが、今後は「監督」の強化に力を入れていくのではないかと筆者は考える。それには党内の組織はもちろんのこと、世論などの監督も必要である。昨年は党の組織である中国共産主義青年団(共青団)の改革が提起され、さらに1月8日に閉幕した中央規律検査委員会第七回全体会議で、国家監察体制の整備も提起されて反腐敗をめぐる制度づくりが一段と進み、相互監督の基礎が徐々に築かれつつある。ただ、世論による監督については、批判の自由をどこまで認めるか、それを拡大させるかというのは問題だが、今後避けて通ることはできない問題だ。

 ただ、党内に長年はびこっていた習慣、党員・幹部の意識を変えるのは容易なことではない。また、習政権が提起している共産党員像は、自らが思想的に目覚めて共産主義運動に従事するというものであり、上から指示されるものではない。現在習政権が行っている党改革は非常に困難をともなう。ゆえに「反腐敗には終わりがない」のだ。二期目の改革をスムーズに実行する基盤づくりとして、今年も政策の立案・実施の中核的存在である党の引き締めはさらに続くだろう。

(中国ウォッチャー 吉田陽介)