楽しくて愉快になるためにSNSを利用しているはずなのに、自分を惨めな存在だと実感してしまうことも

SNSの「楽しくて愉快な情報」は、他人の不幸?

 今や生活になくてはならないツールとなったSNS。友人との交流や情報収集、そして自己を表現する手段として、私たちの日常に深く根ざしたものとなっている。

 しかし、SNSは本当に私たちを幸福にしただろうか。確かにSNSは便利だが、そのぶんトラブルに巻き込まれたり、他人への嫉妬心に苛まれたりする機会も増える。

 カスペルスキー・ラボが2017年1月19日に発表した調査結果 (日本を含む世界18ヵ国1万6750人の男女を対象に実施)によると、60%の回答者が「楽しくて愉快な情報を見るために、ソーシャルメディアを利用している」と回答している。

 しかし、実際にはSNSを利用することで、嫌な目にあうこともある。同調査で特に目に付いたのが、「自分の誘われていないパーティーやイベントに友達が行っているのを見た」(59%)、「他の人が自分より良い人生を送っていることを知った(結婚、子ども、旅行など)」(57%)、「友達が楽しい休暇の写真を投稿した」(45%)といった、他人の投稿により嫉妬心がかき立てられてしまう人が多い現状である。

 ここで大きな矛盾が発生してしまう。楽しくて愉快な情報を見るためにSNSを利用しているはずが、他人の「楽しくて愉快な情報」は、自分にとって楽しくも愉快でもないのである。ならば、「他人の不幸は蜜の味」とばかりに、炎上して袋叩きにあっている人を鑑賞することが「楽しくて愉快な情報」ということなのだろうか。

 仮に、「楽しくて愉快な情報」の中身が、他人の不幸を見て自分の優位性を確認することなのだとしたら、SNSを利用する人の性格は最悪だということになる。もしくは、SNSが登場したことによって、人間の持つ嫉妬心が顕在化されやすくなっただけなのだろうか。いずれにしても、殺伐とした風景であることには変わりない。