国民年金の保険料は平成28年度で月額1万6260円だが、現在年金保険料を納めている現役世代にとって、この負担がなくなることの手取り所得増加の効果は、一人当たり年間約19万5000円あり、これが継続的に行われると期待されるなら、現在低調な個人消費を大きく底上げすることになるだろう。

 基本的に所得に関係なく定額で還元されるので、所得との対比では低所得者のメリットが大きい。

 一方、平成26年度の公的年金制度の国庫負担額は11兆8000億円だが、これがおよそ倍増することになる。厳密には、これまで免除その他で保険料を納めていなかった人たちが保険料を払ったとみなされるようになるので、将来の給付額が増えることになるが、その効果が出てくるのは比較的ゆっくりだ。

 将来の財源は、所得税の累進課税の強化、消費税率の引き上げ、資産課税の強化などで賄うことになるが、当面は国債で調達するなら、日銀の国債購入額が増えて、金融緩和がより強化されて、デフレ脱却に向けた政策が強化されることになろう。拙速な増税で財源を手当てすべきではない。

 目下、デフレ対策として、財政政策の役割が注目されているが、非効率的になりやすくまたメリットを受ける層が偏る公共事業などの「財政出動!」ではなく、広く国民(特に若い世代に)に現金を渡す政策なので、資源配分の無駄が起こりにくい。

 また、現在、制度運営のため過大に大きな積立金を保有し、GPIF等の運用機関が運用に苦労しているが、積立金を縮小して、いわば国民に返すスムーズな方法の一つとして、当面、積立金の取り崩し額を増加して、財源の一部に充てることを組み合わせてもいい。

 加えて、国民年金の保険料徴収などの事務が不要になることのコスト削減効果も重要なメリットだ。日本年金機構は、大幅に縮小できよう。

 個々の加入者は、「これから」国民年金保険料を支払ったことになり、将来の年金支給額が計算されることになるので、制度導入までの保険料納付実績はフェアに反映される。国民年金の保険料が満額自動的に支払われているのと同じだから、特に免除申請などを考えている低所得者には「安心」だろう。将来は、国民年金を減額することなく受け取ることができる。