・他人持場の海草類を断りなく苅(かり)採(と)る者
・毒薬並に激烈気物を用(もち)ひ魚鳥を捕ふる者
・他人分の田水は勿論組合持の田水を断りなく自恣(じし)に我が田に引入る者
・他人の持場に入り筍(たけのこ)或は蕈(きのこ)類を無断(ことわりなく)採り去る者
・堤を壊(こぼ)ち又は断りなく他人の田園を掘る者
・他村又は他人持場の秣(まぐさ)或は苗代草等を断りなく苅採る者
・神物祭事に托し人に妨害をなす者
・往来にて死牛馬の皮を剥き肉を屠(ほふ)る者
・神社仏閣の器物を破毀する者
・雑魚(ざこ)乾場に妨害をなす者
・海苔乾場に妨害をなす者
・他人の猟場に妨害する者
・渡舟橋梁の賃銭を不払(はらわず)して去る者
・牧場外猥(みだり)に牛馬を放ち飼する者
・山林原野にて従いたずらに火を焚たく者
・田畝中に瓦礫竹木等を投入る者
・遊園及び路傍の花木を折り或は植物を害する者
・往来並木の枝に古草履等を投掛る者

 このように、東京府条例も各地方条例も、規制の対象とした日常行動は幅広く、全体を通じて実に細かいという印象を受ける。
 中には、このようなことまでわざわざ成文化するかと苦笑せざるを得ないものやバカバカしささえ感じる条項もある。

 しかし、このような受けとめ方はどこまでも平成という現代の価値基準なり法令というものに対するコモンセンスからみたものであって、新政府の開化主義者は大真面目であり、必死であったのだ。