ソニー創業者・井深大氏も絶賛した『赤ちゃん教育』 が大人気の「脳科学の権威」久保田競氏と「脳科学おばあちゃん」久保田カヨ子氏。
これまで、育脳教育の最重要指針に「早期からの算数力アップ」を掲げてきた。なぜなのか?
『小学校前にみるみる算数力がつく15の習慣』 が話題の著者に、「短期記憶と長期記憶の実験」について聞いた。
海馬は、いつ解剖学の用語になったか?
(Kayoko Kubota)脳科学の権威である京都大学名誉教授・久保田競氏の妻で2人の息子の母。この20年で3000人以上の赤ちゃんの脳を活性化させてきた。テレビなどで「脳科学おばあちゃん」として有名。累計38万部突破のシリーズ『0歳からみるみる賢くなる55の心得』『1歳からみるみる頭がよくなる51の方法』『カヨ子ばあちゃん73の言葉』『カヨ子ばあちゃんの男の子の育て方』『カヨ子ばあちゃんのうちの子さえ賢ければいいんです。』『赤ちゃん教育──頭のいい子は歩くまでに決まる』『カヨ子ばあちゃんの子育て日めくり』(以上、ダイヤモンド社)などベスト&ロングセラー多数。ズバッとした物言いのなかに、温かく頼りがいのあるアドバイスが好評
【脳研工房HP】www.umanma.co.jp/
海馬(hippocampus)が、解剖学者でつくる国際解剖学会で、正式に解剖学の用語になったのは、19世紀の後半です。
人体の解剖学的研究が行われるようになったのは、ルネサンス期のイタリアで、最初の人体解剖学の専門書は、1543年に出版されたアンドレアス・ベザリウスの『人体の解剖(De humani corporis fabrica)』。通常、「ファブリカ」と略されています。
前述のアランチウスは、ベザリウスの弟子でした。
20世紀中頃になると、海馬の構造は、ほぼ解明された状態になっていたのですが、海馬が何をしているのかという機能を調べる生理学の研究はほとんどされてきませんでした。
海馬の記憶機能が、
突然解明された瞬間
ところが、海馬の記憶機能が、突然解明される瞬間が訪れます。
1953年9月1日、アメリカのコネチカット州ハートフォードにあるハートフォード病院で、脳外科医のウィリアム・B・スコビル博士が、てんかん(癲癇)の治療のために側頭葉の下方にある海馬を、左右とも除去する脳手術を行ったのです。
患者はヘンリー・G・モレゾーンさんという27歳の青年で、15歳の頃から原因不明のてんかんに悩まされていました。
抗けいれん薬が効かなくなっていることと、生活の質をよくするために、スコビル博士が実験的な除去手術を試みました。
モレゾーンさんは、手術の麻酔から覚めても、病院でされたことが理解できず、病院スタッフのすることも理解できませんでした。