「ただ話を聞いてほしいだけ」
初めて知った行き場のない気持ち

 でも、それは間違いだったと、子どもが生まれて初めて知りました。今までそんな態度をとっていたことを、謝りたいくらいです。そう、相談する人は本当は解決なんて望んでいないのです。話を聞いてほしかっただけなんですよね……。私は、出産して子育てに疲れ切っていたので、ただただ、とにかく、話を聞いてほしいだけだったのです……。私は、母親になって初めてこの辛い、行き場のない気持ちを知ったんです。
 
 これ、私にとって衝撃でした。オチはないけど、話しを聞いてほしい。日々の育児疲れを夫に話して、共感してほしいだけ。「そうなんだ、大変だったね」と言われたかっただけ。こんな小さなことなのです。でも、こんな小さなことをうまく伝えられなくて、妻のストレスがどんどんたまっていく……。妻は、ストレス解消をすることができず、どんどんイライラがたまり、夫にやさしくする余裕がなくて、その結果夫からすると、出産前とはまるで別人のように、妻の性格が悪く見えるのだと思います。

 ただ、今思えば、子育てをするまでは、夫婦といえどもただのカップル。付き合っているときと変わりません。自分たちが好きなときに一緒にいればいいし、ちょっと険悪なムードになればなんとなく会話をしなければいい。適当に距離を置けるんです。週末だって、彼は好きなゴルフや釣りに行くし、自分は自分でショッピングやスポーツクラブなど、自由な時間にストレスを解消したりできる。だから、適当に距離をとりながら仲良く一緒に生活できるのです。

 しかし、子育てには逃げ場がないのです。母親は自分の時間がなくて、コーヒーも飲めない、髪をカットすることもできないストレスが募ってしまいます。それなのに、夫は子どもが生まれたにもかかわらず、週末にゴルフに行くと言います。妻からしたら、実は本当にショックなのです。「なんで子どもの世話があるのに、ゴルフなの? 私ひとりでみるの? 信じられない!」と。

 夫からしたら、「行くなと言ってくれればいいのに」と思うかもしれませんが、妻からしたら、この状況でゴルフや釣りに行くと言う神経が信じられないのです。あまりの価値観の違いに、「もう、いいや……」とあきらめているママが多いのです。簡単に言うと、「私がこんなに大変なのに、こんなときに趣味で出かけるなんて信じられない! 私の気持ちを全然わかってくれない。もうこんな人知らない!」という感じです。