スティーブ・ジョブズ、エリック・シュミット、稲盛和夫……世界のリーダーたちは、なぜこぞって「禅」を学ぶのでしょうか。曹洞宗のお寺の住職で『心配事の9割は起こらない』など多くのベストセラー著書がある枡野俊明氏が教える、悩み多きリーダーのための「禅語」。今回ご紹介するのは、リーダーたる者、部下が真似したくなるような振る舞いを心がけよ、という意味の禅語「薫習(くんじゅう)」です。

部下はあなたのここを見ている

「あの人のようになりたい」

 部下にそう思われれば、リーダー冥利に尽きるというものです。

 あこがれの気持ちは、対象となる人物の立ち居振る舞いを真似るという行動を呼び起こします。

 そして、仕事の進め方や接客のやり方、問題が起きたときの対応の仕方などから、言葉遣い、身だしなみ、顔つき、持ち物などに至るまで、あたかも自分がその人になったかのように振る舞うようになるのです。

 最初は単なる真似であっても、やがて尊敬しあこがれる人の立ち居振る舞いが自然と身につきます。

 もしリーダーが部下から「あの人のようにはなりたくない」と思われたとしたら、情けないではありませんか。社内に悪臭が漂うばかりか、集団としての活力も大きく削がれてしまいます。

 ですから、リーダーは部下が真似したくなる振る舞いを心がけなくてはいけません。

 このことを禅語で「薫習」といいます。