今回のPSAのオペル買収発表は、欧州での世界モーターショーの一つである「ジュネーブ国際自動車ショー」開幕(3月7日)の前日ということで注目が集まった。その国際自動車ショーでは市場回復で元気な欧州勢と、欧州市場で攻勢をかける日本勢の積極的な出展の動きが目立っている。電動化や自動運転、つながる車への将来技術の転換への対応だけでなく、世界の自動車の新たな提携や連携に向けて模索しているのだろう。

2016年の世界販売台数ランキングで
VWが首位を奪還した理由

 2016年の暦年(1~12月)世界販売台数ランキングは次のとおりである。

 ディーゼル車不正問題で苦境に陥ったかに見えた独VWだが、昨年の世界販売台数を見るとトヨタからトップを奪還していることからもわかるように、明らかに立ち直ったことを示している。これはアウディやポルシェなどグループ企業の押し上げや地元の欧州での順調な販売に加え、中国の市場で販売台数を大きく伸ばしたことが大きい。とくに昨年、中国市場における新車販売台数は2803万台(前年比13.9%増;中国汽車工業協会の発表)。このうちVWグループが販売した台数は小型車減税の恩恵も受け、過去最高の398万台(前年比12.2%増)であり、これが大きな原動力となったわけだ。

 一方、4年連続で世界販売台数で首位を守り続けてきたトヨタは、ダイハツと日野を入れて1000万台を維持しながらも、中国市場で好調だったVWにトップを譲ることになった。ところが、スズキが新たにトヨタグループ入りし、かつスバルやマツダを含む緩やかな「仲間づくりを進める」(豊田章男トヨタ社長)なかで、このグループ全体で見ると世界販売台数で1600万台規模となる。

 ルノー日産連合は、昨年11月、三菱自動車を傘下に置いたことで、三菱自の世界販売分を加えて「約1000万台規模のアライアンス連合となり、スケールメリットを生かしていく」と3社のトップとして統括するゴーン戦略の方向を示した。ゴーン氏の世界覇権の野望は、GMのオペル売却で図らずも世界第3位に浮上することになる。

 これに対し、GMは1000万台規模にまで回復してきたが、今回の欧州撤退により、当面は規模よりも収益性を重視する経営姿勢を示した。だが一方で、ホンダと燃料電池車の米合弁会社を始動させるなど、将来を見据えて新たな合従連衡も模索している。