このような集中砲火が1時間近く繰り返される屈辱。M氏とH氏は美容商材を取り扱うメーカーの社員です。私は商社に勤めて彼らの商材を取り扱っていたので、彼らにとっての「お客様」が私のはずでした……。にもかかわらず、なぜこんな目に遭わなければいけないのか。おそらく、社長が頼んだからこその退職勧奨への参加だったと思います。ちなみに彼らの所属する会社は、業界でもトップクラスのシェアを誇る超大手メーカー。おそらく上場していたと思いますが、これでは企業コンプライアンスなどあったものではありません。

 パワハラはこうした言葉の暴力だけではなく、時には身体的な暴力も伴いました。それから間もなく、私は会社を唐突に不当解雇されてしまったのです。

上司個人の問題か、会社の問題か?
パワハラ被害者が身を守る2つの方法

 いかがでしょうか。私が経験したレベルのパワハラに悩む人が世の中にどれほどいるかはわかりませんが、パワハラとはかくも陰湿で、社員の心に打撃を与えるものであることがを、パワハラを受けたことがない人にも知ってほしいと思うのです。

 こうしたパワハラに苦しめられるビジネスパーソンは、どんな対策を考えればいいのでしょうか。私の経験則上、その対応は大きく2つのケースによって異なります。パワハラが上司個人の問題か、それとも会社の問題か、ということです。

 第一に、パワハラの原因が直属の上司にある場合です。この場合は、周囲の同僚に相談したり人事部に駆け込んだりして、上司にパワハラをやめさせるよう、社内での働きかけを行うことが先決です。たいていの場合は、人事部や会社の上層部が本人に厳重注意を行ったり、上司かあなたかのどちらかを別々の部署に異動させたりすることで、事態の収拾を図ってくれるはず。そうなれば、状況が改善される可能性は高いと思います。

 ただ、いくら苦境を訴えても、会社がちっとも動いてくれないというケースが意外に多いことも報告されています。そうした場合は、労働基準監督署などの外部機関に相談するのが順当なところでしょう。ただし、この場合に優先すべきは、自分が会社に残れるようによく考えて振る舞うことです。外部の力を借りて会社と直談判してもらうなど、強硬な手段をとると、それで上司のパワハラはなくなったとしても、周囲のあなたに対する心象は悪くなる可能性があります。弁護士に相談する場合はなおさらでしょう。いわゆる「色眼鏡」で見られることにより、居心地が悪くなり、ゆくゆく自分自身で退職を選ぶという残念なことになりかねません。問題の解決はなるべく社内に止めることが必要です。

 第二に、会社ぐるみでパワハラが行われている場合です。私が勤めていた会社はまさにこれでした。率直に言って、この場合は会社に残るという選択をせず、なるべく早く新しい人生のスタートを切った方が賢明と言えます。もちろん、「それでも今の会社で頑張り続けたい」と考える人はいると思いますし、それはそれで尊い選択だとは思います。しかし、いざというときに自分が不利にならないよう周到に準備をしながら、いつでも退職届けを出せる心づもりをしておくことは必要です。