ライフスタイルが仕事の形態に左右される中で、食事による健康の維持はとても重要だ。本連載ではこれまで、企業の特定の部署の事情を取り上げて食事による生活改善を提案してきた。今回から連載の第二章として「総務・人事にできる社員のサポート」と「社員が働き方を再考するきっかけとしての食事」についてより詳しく連載していく。(栄養士・食事カウンセラー 笠井奈津子)
「総務って、社員の健康のことを本当に考えているものなんですか?」
そう質問をされたことがあります。皆さんの会社はいかがでしょうか。食の研修やカウンセリングなどの仕事を通じて企業との関わりを持つ私からすると、どの会社も総務以外の部署の社員が思っている以上に、総務担当者は社員の健康について真剣に考えているように感じます。もちろん、日常業務において決して緊急度が高くないテーマにもかかわらず外部講師に講義を依頼するくらいの企業なので、たまたま意識が高いだけかもしれません。
ですが、「健康経営」という言葉が浸透するにつれ、企業の中に「社員の健康は会社にとって大事なものだ」という認識が高まっているように感じています。メタボという言葉のおかげで老若男女の境なく健康系の話題を出しやすくなったように、「健康経営」というキーワードのおかげで、予算の取り方を含め、総務(人事)が施策を考えやすくなったような印象を受けます。
「健康経営」で総務・人事の研修に注目が集まるも
施策の内容は悩みのタネ
ただ、どこの企業もまだ模索中だからこそ、そこで実際に何が行われるかについては差があります。
実際に「健康経営」という言葉は打ち合わせのときによく聞くのですが、具体的な施策を考える上ではテーマが漠然としがちで、何をどこから手をつければいいのか分かりにくいという印象です。