「働き方改革」は総務が主導しないとできない

 このところ新聞で取り上げられることの多い「働き方改革」。アベノミクスの大きな柱ともなっている。働き方改革、あるいはワークスタイル変革は、ともに従業員の働き方を大きく変えてもらう必要がある。そのためには「制度」「ITツール」「風土」、この3点を大きく変えることが必要であると言われている。

 まず、制度とツールに関しては、取り急ぎ、総務で制度設計をしたり、ITツールを導入することはできる。ここまでは、総務部内だけで対応が可能である。

 その後、全社に告知して、実際に社内の従業員に制度を順守してもらい、ツールを利用してもらうことが必要となる。この時に効いてくるのが、総務と現場社員との関係性である。総務が誰のために仕事をしているのか、を現場社員は必ず見抜くものである。

 現場を歩き、現場の声を聞き、現場を巻き込みながら全社導入していけば、現場社員は総務の真意を感じ、納得してその制度を守り、ツールを活用していく。

 一方で、現場のことは考えもせずに、経営側から言われたから制度を構築したり、「他社も入れているから」程度の動機でITツールを導入したものであれば、従業員はそれを感じとり、あからさまな反対はしないものの、その制度やツールは使われないものとなる可能性がある。

 働き方改革や健康経営など、今後は全社的な活動が大きくなっていく。その運営主体となるのは総務だ。だから、「総務と現場社員との信頼関係の良し悪しが、全社を変える取り組みに大きな影響を与えることになる」というのが今回のテーマである。

総務の仕事は「作って、決めて、活用してもらうこと」

 総務の仕事は、どのような種類の仕事が多いのか。先に記したように、健康経営の実践やら、ワークプレイスの変革などの新たなルールを作成したり、既存のルールを改訂したりする仕事。新たなサービスを導入したり、既存のサービスを変更したりする仕事が多い。

 どのような仕事であれ、以下のプロセスが必要となる。

 総務部で決めて、全社に周知して、現場社員に理解してもらい、遵守してもらうか、使用方法通りに活用してもらうか。つまり、総務の多くの仕事は「決めて、作って、現場社員に活用してもらう」仕事が多いのである。

 繰り返しになるが、活用してもらうべき現場社員と総務部との信頼関係がそのベースに必要となる。その際、知っておいて欲しいのは、「何を言うか」より、「誰が言っているか」の方が現場社員の心理に影響を与えることである。つまり、「誰が言うか」により、その内容を守ってもらえるかどうかが大きく左右される。