それは「どっちでもいい要素」では?
ぼく自身、消費者としてこのエピソードを体験しました。それまで使っていたiPhoneの調子が悪くなったので、機種変更をしに携帯ショップに行った時の話です。新しいiPhoneを買いに行きましたが、ショップにはいろいろな携帯が並んでいます。そこでふと「別にiPhoneじゃなくてもいいかなぁ」と思うようになり、日本製の携帯端末を手に取ってみていました。
一つ気に入ったのがあったので、それにしようと決め、店員さんに手続きを依頼しました。すると、その機種はiPhoneの最新モデルよりも高いことがわかりました。勝手に「iPhoneが一番高く、他の機種はiPhoneより安い」と思い込んでいたので、かなり意外でした。店員さんに「あ、iPhoneより高いんですね」と言うと、「そうなんです。でも、カメラの性能とか、音楽を聴く時の音質はiPhoneよりいいですよ」との返答。
なるほど、たしかに内蔵されているカメラの画素数は、デジタル一眼レフ並みです。もはやプロが使うくらいのレベルです。音質も“ハイレゾ”に対応しているようで、本当にいい音で音楽を聴くことができそうです。もはや携帯電話ではなく、プロのカメラであり、音響機器です。さすがだと思います。
ただ、ぼくはそんなスペックを望んでいたわけではありませんでした。その機能があっても構いませんが、別になくてもいい。「どっちでもいい要素」なわけです。そして、もしその「どっちでもいい要素」のせいでiPhoneより高くなっているとしたら、本末転倒ではないでしょうか?
実際問題、画素数をプロ並みにまで求めている人がどれほどいるでしょうか? ぼくが富士フイルム社にいた時、「パソコンの画面で見るくらいなら、30万画素あれば十分、Lサイズ(通常の写真サイズ)に焼くなら、80万画素あればOK」と言われていました。よほど拡大してみない限り、それ以上の画素数があっても、実際は意味がないんです。
もちろん、画素数も多い方がいい気がするし、“ハイレゾ”対応もうれしいでしょう。でも、ぼくにはこれが「ハード機器の機能重視」に見えて仕方がありませんでした。
「端末代は高くなります。でも、カメラのスペックはiPhoneよりずっと高いです」というスペック重視の売り方では、もはや消費者の気持ちを動かせません。そのことを強く実感した出来事でした。
「すべての商品は、それが持っているコンテンツを売っている」
そういう視点で世の中を見渡してみてください。そして、売れている商品と売れていない商品を見比べてみてください。かなりわかりやすい差が見えてきます。そして同時に、売れる商品を作るためにはどうすればいいか、つまり売れるコンテンツを作るためにはどうすればいいかが自分で見つけられるはずです。
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