すべての商品は「コンテンツ」として買われている
バブルが崩壊してから、多くの企業の商品がなかなか売れずに残っています。それに対し、日本は長らく「モノづくり」で栄えてきた、そして今はモノ余りの時代だから商品が売れなくなった、とよく言われます。日本経済が低迷しているのは、モノづくりしかできないからとも言われます。ですが本当にそうでしょうか?
モノが足りていなかった時代でも、消費者は「モノ」を買っていたわけではありません。自動車や家電がバカ売れしていた時代がありました。しかしその時代でも、「自動車」というモノ(物体)が求められていたわけではありませんね。家電という金属が求められていたわけではありません。
自動車や家電を買った時に得られる、何か他の「ほしいもの!」が手に入るから、それを買うんです。そして、今となってはそれらの「ほしいもの!」が手に入らなくなったから自動車や家電が売れなくなっているのです。
つまり、どんな商品であれ、消費者はその物体を購入していたわけではなく、その物体としての商品が持っている魅力、持っている力、それを使って実現できるものを買っていたのです。
それを書籍『どうすれば、売れるのか?』では、「コンテンツ」と定義します。コンテンツと聞くと、アニメやゲームを思い浮かべる方が多いかと思います。一般的には、コンテンツはデジタルのエンターテインメントとして使われますが、決してそれだけがすべてではありません。
「コンテンツ」とは、あくまで「中身」のことです。すべての商品には「中身」があります。当たり前ですが、映画のDVDを買う時、消費者はそのDVDのプラスチックがほしくて買っているわけではなく、「中身」である映画を買っています。同じように、冷蔵庫は、物質的には「鉄」ですが、「中身」は「冷やす」という機能で、消費者が冷蔵庫を買うのは、その機能がほしいからです。
どんな商品でも「中身」を持っていて、消費者がその商品を買うのは、その「中身」、つまり「その商品が持つコンテンツ」がほしいからです。
そのため、商品・サービスが売れるか売れないかは、その商品・サービスが持っているコンテンツが魅力的か、そしてその魅力が消費者にどう伝わるかで決まっているわけです。
どんな商品でも、そのコンテンツが評価されて買われています。そして、その商品が持つコンテンツに魅力がなければ、いくら高価な材料を使っていても、いくら有名なデザイナーがデザインしても、売れないのです。
つまりは、モノがあふれているから売れないのではなく、顧客が求めているコンテンツが商品・サービスに入っていないから売れない、ということなのです。