また、「今後10年間で、両社合計17億ユーロのコスト削減が可能」であるとしており、「26年にはオペル・ボグゾール部門の売上高営業利益率を6%まで高める」という。

 GMにとって欧州事業の整理は、09年5月末に経営破綻した後の懸案事項だった。当初、カナダの大手自動車部品グループ、マグナとベルギーの投資会社が共同で買収を提案した。だが、この買収話の背後にロシアのズベルバンクと自動車メーカー、アフトワズがいたことから債権者の米国政府が提案を拒否したという過去がある。

 その後、12年2月にPSAとGMは「資本提携を含めた包括的な提携」について合意を発表、PSAに対しGMが7%の出資を行う方針と、車両プラットホームの共同開発などを明らかにしていた。この時点では、16年までに「相手ブランドの車両を自社工場で生産する」展開もプランのひとつとして掲げていた。

PSA、フランス政府、東風汽車
の間で揺れ動いたGM欧州事業

オペル・モッカX 全長4280m/mのコンパクトSUV

 この状況が変わったのは14年2月だった。フランス政府と中国国営大手の東風汽車がPSAに出資したときである。これによってPSAの創業家(プジョー家)の持ち株比率は25.4%から14%へと縮小し、フランス政府および東風汽車がプジョー家と同じ権限を持つ体制に移行した。今回の欧州GMグループ買収には、フランス政府と東風汽車の意向もからんでいると推測される。

 アダム・オペルは、自転車とミシンなどを製造する会社として、フランクフルト近郊のリュッセルスハイムで1863年に設立された老舗メーカー。自動車製造には1899年から携わっている。GMのライバル、フォードが1925年にドイツ子会社を設立したのに対抗し、GMは1929年にオペルを買収した。同様に英国フォードが設立された翌年の1925年にGMはボグゾール・モーターを買収した。オペルが設計したモデルの右ハンドル仕様をボグゾールが製造・販売するという関係だった。

 現在、GMグループはトヨタ、VWと並び世界販売台数1000万台を誇る巨大グループである。過去のピーク時には欧州事業だけで年間160万台を販売していたが、今回の売却によってGMのグループ規模は縮小する。GMが“規模のビジネス”から脱却し、経営体制の強化を目指していることがわかる。