保険は「死亡保障」と「医療保障」の2つだけで大丈夫

 生命保険というのは死んだら遺された人にお金が残る「死亡保障」と、手術や入院をしたら給付金が出る「医療保障」、この2つ以外の保障がある保険以外ははっきりいって必要ありません。

 生命保険商品は「保険料」というコストを払って保険会社から「保障」を買うためのもの。

 死亡保障でいえば、あなたが働いて家計を支え、子どもを育てている場合、もしあなたが亡くなれば家族の生活費や子どもの教育費が不足する可能性があります。そのような“万が一”の場合に備えて、「死亡したら3000万円の保険金が受け取れる」といった「保障」を、保険料を払って買うわけです。

 生命保険は、「心配だから」「万一のときのために」といった漠然とした目的で入るものではありません。

 結論を言うと、独身で養う人がいない、夫婦でも子どもがいない、ほかに面倒をみている人がいない場合には「死亡保障」は必要がなく、自分自身の「医療保険」だけでよいのです。

 もし、妻が専業主婦で、夫の収入で生活しているという場合は、夫の死亡に備える必要があるかもしれません。とはいえ、夫が死亡という一大事が起こると、国からもらえる遺族年金もありますし、数年後には妻は働きだしますから(これまで相談を受けてきた経験上、みなさん働きます)、まったく無収入の前提で死亡保障をたくさん用意する必要はありません。妻がパートやアルバイトで収入が少ない場合は、収入を補う意味で多少の死亡保障を準備します。

 子どもがいるなら、「あなたが死んだら、生活費や教育費などで経済的に困る人」がいるわけなので、子どもが独立するまでの間は「死亡保障」が必要な時期といえます。こうしてみると、死亡保障は必要な時期が限られていることがわかります。大手生命保険会社が勧める、死亡保障に医療保障もついて、そのほかいろいろな特約がついている“セット商品”の場合、基本的に「死亡保障だけやめて医療保障を残す」といったことができません。

 「必要な保障を、必要な時期だけ買う」ためには、「死亡保障」と「医療保障」は、それぞれ“単品”の保険に加入しておくべきです。

30代は保険で貯蓄をしないこと!
親世代のアドバイスは聞き流そう

 ところで、親世代から「保険は貯金代わりになるから」などと保険加入を勧められたことはありませんか?

 30代にとってそのアドバイスは、まったくためになりません。今と違い、親世代は保険で貯蓄という考えが当たり前で、さらにいえばお得な商品が多くありました。

 下図をみてください。左側は親世代の保険料と受取額ですが、30年かけて約531万円払い込めば、その倍以上の 1200万円が受け取れた世代なのです。

 

 これはほんの一例ですが、保険で「おいしい思い」をした世代は、ついつい子どもにも「保険」を勧めがちです。しかし、今、そんな商品はありません。親のアドバイスに従って安易に加入してしまうと、受け取り金額が少ないのはもちろん、特約をたくさんつけるなどして払い込んだ額よりも少ない金額しか受け取れない、というケースも多くあるのです。

 将来、後悔しないためにも、今の30代は親のアドバイスは聞き流して、「貯蓄」と「保険」はわけて考えることが大切です。