「ベストシナリオ」は北朝鮮の民主化
大国の「緩衝国」として大事な北

 北朝鮮の今後に関しては、様々な見解がある。その中でも、本質的に、世界にとって最も好ましいベストなシナリオは、北朝鮮の指導者である金正恩第一書記が独裁体制を改め、民主化を進めることだろう。

 北朝鮮が民主化を進め朝鮮半島情勢が安定すれば、日米韓にとって、核ミサイルという安全保障面の脅威は大きく低下する。

 中国にとっても、金正恩が改心し民主化に舵を切れば、その意義は大きい。中国は共産党による一党独裁政権の下、南シナ海への海洋進出、チベットへの弾圧などを行っている。米国にとって国際司法などを無視した中国の身勝手な行動は、看過できるものではない。

 そうした状況の中で、朝鮮半島において北朝鮮が、中国や米国、ロシアの間の、地理的な、あるいは政治的な「緩衝地帯」の役割を果たしてきた。

 中国にとってみれば、北朝鮮という“緩衝国”があったからこそ、米国と直に対峙し、エネルギーを消耗する状況を防ぐことができたのである。

 そう考えると、「米国や中国が北朝鮮の体制転換の可能性を検討している」との見方はあるはずだ。米中の双方にとって、北朝鮮が大国の意向を尊重し、国家運営を続けることは不可欠といえる。

 ただ、現在の情勢を考えると、金正恩が改心し民主化の重要性に気づき、政治体制の転換を進める可能性は低いだろう。米国の警告に対して北朝鮮が反発姿勢を強めていることを見ても、民主化を念頭に、今後の展開を議論することは現実的ではない。

軍事衝突は「あり得るシナリオ」
半島での米国の影響力強まる

 こうした状況で、相応の可能性があるシナリオとして想定されるのは、米国と北朝鮮の対立が激化し、軍事的な衝突が起きる展開だろう。具体的にいつ、どのような方法、どのような規模で攻撃や衝突が起きるかに関しては、軍事専門家の間でも、様々な見解があるようだ。

 実際に衝突が起きた場合の展開を想定してみる。安全保障条約の下、日米韓は連携して行動すると考えられる。すでに中国は米国との関係を重視し始めており、朝鮮戦争時のように北朝鮮に加勢するとは考えづらい。実際に衝突が起きた場合、中国は従来通り対話の重要性を呼びかけつつ、北朝鮮との国境管理を強化し、混乱が国内に流入するのを防ごうとするのではないか。

 米国の軍事力を考えると、日米韓にとって有利な形で軍事的衝突が収束に向かう可能性があるだろう。そうなると、仮に衝突が発生した場合、その後始末(いわゆる敗戦処理)は日米韓が主導して進めることになるはずだ。その結果、米国は朝鮮半島で一層の影響力を手にする可能性がある。

 このシナリオをもとに考えると、中国は北朝鮮という緩衝国を失う恐れがある。それを防ぐためには、中国が金正恩氏に圧力をかけて、核開発をやめさせることが得策ということになる。だが中国にそれができるかどうかだ。