東芝のフラッシュメモリー事業の生産拠点の四日市工場。その売却先として、KKR・革新機構の日米連合は有力な選択肢となるか Photo by Reiji Murai

東芝が進める半導体フラッシュメモリー事業の入札に、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)と官民ファンドの産業革新機構が共同で応札する意向を固めた。東芝メモリ争奪戦で突如、本命視された「日米連合」だが、実際の枠組みはガラス細工のように不安定。なお波乱含みの展開が続いている。(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 村井令二)

「この枠組みが実現するなら『最適解』になるだろう」。2兆円ともされる東芝の半導体新会社、東芝メモリの入札が難航する中、KKRと革新機構が共同応札する見通しになったことに、東芝幹部は最有力候補として期待を寄せている。

 KKRは、パナソニックからヘルスケア事業を、パイオニアからDJ機器事業を、日立製作所から日立工機を、それぞれ買収しており、日本の大手電機メーカーのスピンアウト事業の投資に実績がある。3月29日に締め切られた東芝メモリの1次入札にも単独で応札していたが、提示金額は低く、水面下で他社と連携を模索してきた。

 一方で、革新機構は1次入札には参加していないが、IoT(モノのインターネット)時代に爆発的な需要が見込める東芝のフラッシュメモリー事業に関心を持ち、経済産業省が中国・台湾企業の買収に「外為法(外国為替及び外国貿易法)」で阻止する構えを示すのを背景に、日本政策投資銀行や、他社との提携による共同出資の枠組みづくりを急いできた。