「逆の因果関係」は
存在していないか
次に私たちが疑ってみる必要があるポイントは、「逆の因果関係」の存在である。たとえば、警察官と犯罪の関係について考えてみよう。
警察官の人数が多い地域では、犯罪の発生件数も多い傾向がある。しかし、警察官が多いということが原因で、犯罪の発生件数が多いという結果を引き起こしたと考えるのにはやや無理がある(警察官→犯罪)。
むしろ、犯罪が多い危険な地域だから、多くの警察官を配置していると考えたほうが理にかなっている(犯罪→警察官)。
このように原因と思っていたものが実は結果で、結果であると思っていたものが実は原因である状態のことを「逆の因果関係」と呼ぶ。
因果関係かどうかを検討するときは、原因と結果の方向が逆ではないかを疑ってみることも重要である。
ここまで説明した内容を、図表2に沿って、今一度まとめてみよう。
2つの変数が因果関係にある場合、再び原因が起こったなら、同じ結果が得られる。「まったくの偶然」「交絡因子」「逆の因果関係」は存在しない。
一方、2つの変数の関係が相関関係にすぎない場合は、「まったくの偶然」「交絡因子」「逆の因果関係」のいずれかが存在している。相関関係の場合、再び原因が起こったとしても、同じ結果が得られるとは考えにくい。
では、この3つがないことをどのように証明すればいいのか。次回で詳しく説明する。