
中室牧子
友達と「チーム」を組んで勉強すると、教わる側の子は成績が上がる。では教える側は?
チームで勉強すると、チーム内で教え合うというピア効果が強まるとすれば、教えてもらう側の勉強ができない子が得をして、教える側の勉強ができる子は損をするのではないかということが心配になります。しかし、心配には及びません。

【今年こそ!】勉強、ジム、ダイエット……エビデンスが明らかにする「習慣形成」の方法とは
処置群のグループ2の大学生は、実験が終わり、お金がもらえなくなった13週間後も、スポーツジムに通い続けていることがわかったのです。これが「習慣形成」の効果です。お金という金銭的インセンティブが呼び水となり、スポーツジムに通うという習慣が定着したのです。

正月こそ読みたい! 「目標」の力で勉強できない子ができる子に変わる方法
演習を受ける前の1学期には処置群と対照群の学生のGPAはほとんど同じです。しかし、演習を受けたあとの2学期には、処置群の学生は対照群の学生と比較して、GPAが(4点満点中)0.66も高くなっていました。それだけでなく、自分自身に対して持っていたマイナスのイメージも少なくなったことがわかったのです。

小学校の頃の「学内順位」は、将来の年収にも影響する
小学校のときに、県内共通の学力調査でまったく同じ点数だったとしても、学内の順位が1位だった児童は、別の学校で順位が最下位だった児童と比較すると、中学校での数学の学力テストの偏差値が2.1~6.2、国語が3.1~6.2も高くなっていることがわかりました。

【エビデンスが示唆】「励まし方」や「褒め方」を変えたら、子どもの「やり抜く力」が伸びた
この教育プログラムが終了してから2.5年後に行われた追跡調査で、処置群の子どもたちは、数学の学力テストの偏差値が2近くも高かったこともわかりました。つまり、ここでも非認知能力の向上は学力向上にもつながり、その効果は長期にわたって持続することが示されたのです。

「好奇心」を上げ、理科の学力偏差値を0.8上昇させた授業
好奇心の向上は、学力にも影響するのでしょうか。処置群の子どもたちは対照群の子どもたちよりも平均して約0.8も理科の学力テストの偏差値が高かったことがわかっています。学力に対する効果はプログラムが終了して3年たったあとも持続していました。好奇心の向上は学力向上にもつながり、その効果が長期にわたって持続することが示されたのです。

祖父母と長い時間を過ごす孫に見られる「ある傾向」とは?
祖父母と同居することは、孫のコミュニケーション力や言語発達に良い効果がある一方、肥満になりがちであることを示すエビデンスがあるのです。

「早生まれは損をする」は本当か? エビデンスで明かされる衝撃の研究結果
4月生まれの子どもは翌年3月生まれの子どもと比べて、小学4年生時点の算数の学力テストの偏差値が3.5、国語で3.6高いことがわかりました。中学3年生ではそれぞれ1.3と1.7まで縮小するものの、差はゼロにはなりません。

たった1枚のパンフレットが、親の意識と子どもの学力を上げた
パンフレットを受け取った親の子どもは、受け取らなかった親の子どもと比べて、3か月後の国語の学力テストの偏差値が2.6も高くなりました。7か月後にもう一度テストをしてみると、多少小さくなったとはいえ、その効果は持続していたこともわかっています。

高校時代のリーダー経験で将来の収入が33%アップ! データで明かされる驚くべき事実
分析の結果、高校時代にリーダーシップを発揮した経験がある人は、そうした経験のない人に比べると、高校を卒業して11年後の収入が4~33%も高くなることが示されたのです。もう少し具体的に言うと、高校時代に運動部のキャプテンだった男性は、部活動に参加してはいたもののキャプテンではなかった人と比較すると、11年後の収入が4.2%も高くなります。

スポーツで将来の年収が14.8%アップ!? 子どもに「稼ぐ力」をつけさせるためにやっておきたいこと
将来、高い収入を得られるように子どもを育てることが子育ての成功だなどと言われると、抵抗を感じる人は多いかもしれません。しかし、子どもたちが、将来しっかり稼ぐ力を身に付けて、経済的に独立することは大切なことです。

マシュマロ1個で「将来成功する子」かどうかを見極める方法とは?
真の成功者とは、目先の快楽に惑わされず、遠いゴールに向けて努力し続けることができる人である。「自分には才能がないから…」「もう歳だから…」と諦める必要はない。「自制心」は大人になっても鍛えられるし、「やり抜く力」は、心の持ちようでいかようにも改善するからだ。※本稿は、シリーズ36万部を突破した中室牧子氏のベストセラー『「学力」の経済学』(ディスカヴァー携書)の一部を抜粋・編集したものです。

「子どものゲーム時間」は1日何分がベストか?最新研究で判明した意外すぎる結果とは
テレビやゲームをやめさせるだけでは、子どもの学習時間はほとんど増えないという分析結果が明らかになった。大事なのは、親や祖父母など周りの年長者が学習に積極的に関わり、サポートすること。伴走者がいることで、子どもの学習意欲はグンと増すのだ。※本稿は、シリーズ36万部を突破した中室牧子氏のベストセラー『「学力」の経済学』(ディスカヴァー携書)の一部を抜粋・編集したものです。

「テストでいい点とる」と「本を1冊読む」、子どもの学力が上がる「ご褒美のあげ方」はどっち?
勉強をサボる子どもをやる気にさせるためにご褒美を与えることはあるだろう。では、「テストでいい点を取ったらご褒美をあげる」と「本を1冊読んだらご褒美をあげる」の、どちらが子どもの学力向上に効果的なのだろうか?教育経済学者の中室牧子氏が上梓し、シリーズ36万部を突破したベストセラー『「学力」の経済学』(ディスカヴァー携書)より、目からウロコのご褒美術をお届けする。

「教育データ利活用」は本当に「地獄への道」なのか?
NHKの報道などを契機に、「教育データ利活用ロードマップ」が炎上した。これについてデジタル庁の中室牧子氏は「あえて国民の誤解や不安を惹起するような報道の仕方をしている」と失望をあらわにする。では、教育データ利活用の目的は何なのか?

一般の教育で道標となるのは、「一個人」ではなく「多くの子供たち」を対象にした実験の結果だ。『「学力」の経済学』の著者である中室牧子氏が教育の効果を科学的根拠から解き明かす。

ノーベル経済学賞を受賞したカードによる最低賃金の研究をどこよりもわかりやすく解説!
2021年のノーベル経済学賞は、デビッド・カード、ヨシュア・アングリスト、グイド・インベンスの3名が「因果推論」の分野で受賞した。経済学で今一番ホットなこの「因果推論」をどこよりもわかりやすく解説していると話題になっているのが『「原因と結果」の経済学』である。本書の中から、デビッド・カードの研究について解説した箇所を特別に公開する。

第23回
ノーベル経済学賞受賞!3分でわかる因果推論と経済学の歴史
◎メタボ健診を受けていれば健康になれる◎テレビを見せると学力が下がる◎偏差値の高い大学に行けば収入が上がる一見正しそうに見えるが、実はこれらの通説は経済学の有力な研究ですべて否定されている。ここでいう「メタボ健診」と「健康」のように、「2つのことがらが因果関係にあるかどうか」を調べる方法のことを「因果推論」(いんがすいろん)と呼ぶ。アビジット・バナジー氏、エステル(エスターとも)・デュフロ氏、マイケル・クレマー氏が先日ノーベル経済学賞を受賞したのもこの分野だ。この因果推論の考え方を一般書で初めて紹介し、『週刊ダイヤモンド』2017年ベスト経済書第1位を受賞した書籍『「原因と結果」の経済学』は、2017年刊行にもかかわらず現在でも売れ続け、5万部を突破するロングセラーになった。毎日新聞朝刊、日経新聞朝刊に書評が掲載され、池上彰氏も「私たちがいかに思い込みに左右されているかを教えてくれる」と推奨している。この因果推論が、なぜ経済学の一分野として扱われるようになったのか。経済学のなかでどのように発展してきたのか。『「原因と結果」の経済学』から、一部を特別に抜粋する。

第22回
健康に悪くなさそうな加熱式タバコが紙巻タバコと同様にダメな理由
およそ1年後の2020年4月より、原則屋内禁煙を求める「健康増進法の一部を改正する法律案」(改正健康増進法)がいよいよ全面施行される。しかし、改正健康増進法はIQOS(アイコス)などの加熱式タバコには例外を設けている。これは、加熱式タバコは紙巻タバコよりも健康被害は少ないという意味なのだろうか?

第21回
日本人が加熱式たばこの実験台にさせられている
6月5日、東京都は政府の健康増進法改正案よりも厳しい受動喫煙防止条例を公表した。慶應義塾大学准教授の中室牧子氏、UCLA助教授の津川友介氏は「都民の方を向いた政治をしている」と評価する一方、「なぜか加熱式たばこには甘い」と指摘する。両氏は加熱式たばこの有害性を調べた研究が少なく、規制がゆるいのをいいことに、「たばこ産業は日本人で人体実験をしているのでは」と懸念を示している。詳細を聞いた。
