アンケートで浮き彫りになった
人事部への不満と不信

 自社の戦略に対して、組織人事対応が適切でないという回答が58.0%にものぼった。また、組織人事対応のうち採用が適切でないという回答は48.0%であるが、人事評価制度が適切でないという回答は55.5%、人材育成が適切でないという回答に至っては58.1%と最多だった。

 企業にとっての人材開発の目的は企業の業績伸展(51.1%)、社員にとっての人材開発の目的は社員のパフォーマンス向上(55.1%)が、それぞれ最多回答だったが、実施している研修が企業の業績伸展に役立っているという回答は39.4%、社員のパフォーマンス向上に役立っているという回答は39.9%に過ぎなかった。

 さらに、社内研修のトレーナーは社内講師のみという企業は21.4%に過ぎず、今後、研修の半分程度以上を外注したいとしている企業は72.1%と高い割合に至っている。これは、「もう自社の研修部門には頼まない」というメッセージに他ならない。

 経営者や各部門から期待されず、外部講師を使えと指示をされるような人事部門や人材育成部門は、外部講師のコーディネーター役としての機能しか果たせていない。さらに、コーディネーターとして期待に適う役割を発揮できているかといえば、それすら「適切でない」と思われている体たらくなのだ。

 モチベーションは下がり切り、経営課題はおろか人事課題を解決するエネルギーも枯渇し、ルーチンに取り組むのみ。そのルーチンさえも、より安価で正確な処理をするアウトソース会社に奪われ、立つ瀬がない。私の肌感覚が捉えた人事部の実態が間違っていないということを、このアンケート調査結果が裏付けたと感じている。

 もはや、人事部の存在そのものを議論しなければならない状況だと言わざるを得ない。

 実際、私自身が実施している、働き方改革自社展開プランを作成するワークショップや行動変革プログラムへの参加者を見ても、人事部の人は極めて限られている。史上最も経営課題としてハイライトされている人事課題である働き方改革推進の担い手に、人事部はなれないのだろうか。

 私は、その成否は、人事部メンバーが推進の担い手になるという志願をするかどうかにかかっていると思う。この調査結果が示しているように人事部は、経営者や他部門から、もはや期待されていない。その実態に危機感を持ち、自ら手を上げないのであれば、働き方改革推進チームは、人事部内に設置すべきではないし、推進担当は人事部のメンバーを当ててはならない。