◇地域の中で共存共栄する生態系

 M&Aを繰り返しながら、事業の拡大と多角化を一気に進めてきた藤堂氏の手法は、その地域の消費者や社会を巻きこんで、お互いが生きる道を築くために協力する「生態系」を生みだしている。

 たとえば、自動車整備業と車の販売業という組み合わせは、車を販売した数年後にお客さんが再訪する循環をつくっている。また、自動車整備業に特化した投資運営専門会社をつくることで、利益が出せるようになったら買収する仕組みも整えた。さらに、顧客情報をシェアすることで、それぞれの規模を拡大していく戦略もとっている。

 縮小する地方経済のなかで利益を得るためには、自社の外にある新しいチャンスを常に探さなければならない。だからこそ藤堂氏は、今の事業の延長線からではなく、飛躍的な事業拡大、非連続性の成長をめざしている。この「事業意欲の強さ」こそが、ヤンキーの虎の特徴といえる。

◆「成り上がり型」ヤンキーの虎
◇トラック一台から上場企業へ

 丸和運輸機関の社長である和佐見勝氏は、トラック一台から運送業を始め、2015年4月に東証一部上場を果たした、典型的な「成り上がり型」である。

 周囲からの進学のすすめや反対を押しきり、「母の病気を治すため、成人までに独立」することを掲げ、中卒で東京日本橋の青果店に修行にでた。そこで小売業のノウハウを徹底的に学んだのち、19歳で千葉県に開業。その2年後には東京に進出し、日々完売する繁盛店にまで育てあげた。

 だが、24歳のときに保証人になったことで、店もお金も全財産を失ってしまう。そんなとき、手元に残ったトラック一台ではじめたのが運送業だった。

◇運送業に商人道を持ち込む

 乱暴な応対やひどい言葉使いが飛びかう運送業の現場で、自分の学んできた商人道を活かせれば勝機はあると考えた和佐見氏は、自分なりのやり方で運送業を始めた。

 お客さんに叱責されながら運送業界の常識を学び、「お客様の荷物を誰よりも大事に」という初荷のときにお客さんから言われた言葉を、丸和運輸機関「桃太郎便」の理念とした。そして、荷物を運ぶだけにとどまらず、お客様にとって有益な次のサービスは何かをつねに考えつづけ、他の運送業にはないサービスを提供していった。

◆ヤンキーの虎のビジネス手法
◇地縁血縁をフル活用

 ヤンキーの虎は、地縁血縁を大切にする。そのため、経営陣を血縁で固めたり、地元の国立大を出た、地味で優秀な人材を幹部に据えたりもする。

 こうした地縁関係は、販売網にも活かされている。経済が発展する時代には、製造業が「主」、販売業が「従」であった。しかしモノ余りの時代となった今では、モノをつくる人よりも、モノを売る人のほうが求められている。現在、FC本部よりもフランチャイジーの発言権が強いケースが増えているのも、そうした事情からである。そのような時代において、地縁関係がもたらす恩恵は無視できないほど大きい。