経営 × 採用

グループ会社5000社を目指すソフトバンクの「人事制度の作り方」

多田洋祐 [ビズリーチ取締役・キャリアカンパニー長]
【第13回】 2017年5月25日
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青野 各社の人事ポリシーが、グループ全体の人事ポリシーからかけ離れていなければ、各社のマーケットに合わせて人事制度を作っていけばいいと思っています。

 福岡ソフトバンクホークスは野球球団ですが、野球球団と通信会社の人事制度を一緒に考えることはできません。でも実はそういったことをやりがちなのです。球団は球団にふさわしい人事制度を運用するべきです。

 ホークスは2015年から独自の制度を運用しています。具体例を挙げると、球団社員にはホークスの実績に比例してインセンティブが付与される仕組みになっているのですが、新制度を導入した年に、ちょうどホークスが優勝しました。球団社員は「ボーナスをもらえるのか!」と大変盛り上がりました。球団社員は200人程度のため、そのインセンティブの総額は日本シリーズや、クライマックスシリーズで回収が可能です。しかし、残念ながら2016年は優勝を逃して悔しい思いをしました。

ソフトバンクが猛烈に変化・成長する理由

多田 ソフトバンクグループではホークスを含め、多くのM&Aを実行しています。買収後のPMI(Post Merger Integration)では、どのような取り組みをしているのですか。

青野 基本的なポリシーである「実力主義」や「成果をあげた社員に報いる」といったところが担保されていれば、先ほど述べたとおり、各マーケットに合った人事制度を作っていくべきでしょう。2013年に米・スプリントを買収しましたが、スプリントの給料水準は日本の給料水準とは違いました。例えるならば「仮にシアトル・マリナーズを買収する場合、選手に掛かる費用をホークスと同じにできるのか?」ということなのです。

多田 なるほど。事業側のポリシーは、どこでどのように決まるのですか?

青野 大きくとらえると、孫が描く世界観がグループ全体の世界観なわけですが、役員レベルで決まる場合もあれば、若い社員が事業をしっかり作ろうと考えて提案してくることもあります。つまり「どこ」ででも決まります。一方で、われわれが思いつかないような圧倒的な企画を孫が生み出すことも多くあります。2016年にはグローバルでのテクノロジー分野への投資を目的に10兆円規模のファンドを設立することを発表しました。めちゃくちゃなスケール感に、また孫にやられたなと思いましたね。時価総額200兆円の実現に向けて、孫が自ら次々に仕掛けていく。それについていくのは、ものすごく大変なことなのです。

多田 トップである孫さんのスケール感とスピード感が桁外れだからこそ、社員の方も相当な勢いを求められますね。

青野 やる気になって本気で取り組めば、自然とスキルが育つ環境ではあるかなと思います。周りのサポートもありますが、実力を発揮しやすい環境であることは間違いないでしょうね。

多田 ありがとうございました。

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企業における「採用」を考える

多田洋祐 [ビズリーチ取締役・キャリアカンパニー長]

トップヘッドハンターとして活躍後、人事部長として株式会社ビズリーチ入社し、入社時に従業員30人だった組織を4年で500人に拡大させる。現在はキャリア事業のトップとして事業全体を統括し、「ダイレクト・リクルーティング」の日本での本格的な普及に努める。

 


経営新戦略3.0

これまで数々の企業と対話を重ねてきた採用コンサルのプロが企業に横たわる経営課題をトップに直撃、その解決策について議論する。

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