三井物産とタッグ
海外展開も視野に

 しかし事業の拡大とともに、バリューチェーン全体を自社だけで見ることが難しくなりつつあった。

 そんな中、14年に転機が訪れる。三井物産と共同で「さらさらゴールド」の開発・販売を進めることとなったのだ。

 大手商社の三井物産が、ほとんど無名の地方のベンチャー企業と手を結んだのには理由があった。三井物産では東日本大震災後の11年6月、「国内ビジネス推進室(現在はビジネス推進部)」を新設し、全国9カ所の国内支社・支店と共に、有望な技術やビジネスモデルを持つ地方企業の掘り起こしを積極的に行い始めていた。こうした中、北海道支社が第1号案件として「さらさらゴールド」に着目。

 三井物産が百貨店などへと販路を拡大するとともに、パッケージや店頭陳列なども高級感があるデザインへと変更。また、ブランド認知を広げるためのイベントやセミナーなども積極的に行った。

「さらさらゴールド」の生産量は急拡大している。14年には100トンだったが、今年は500トンを予定し、「数年後には1000~1500トンになる予定」(石川英一・三井物産北海道支社業務室次長)だ。

 さらに来春には、オーストラリアとニュージーランドの北海道と緯度が近い地域で200~300トンを収穫する。日本と季節が逆の国々で生産することで、1年を通して市場に流通できるようになる。

 将来は米国などで現地生産を行い、日本と同様のビジネスモデルを展開することを検討中だ。

「消費者が望む機能を持つ、今まで誰も見たことがない玉ねぎを、日本から世界へ広げていきたい」

 挑戦はまだまだ続きそうだ。(敬称略)

(「週刊ダイヤモンド」編集部 松本裕樹)

【開発メモ】さらさらゴールド

岡本が世界中から約300種類の玉ねぎをかき集めて分析したところ、寒く紫外線量が高い高緯度地域原産の品種ほど、ケルセチンを多く含有していることが判明した。その結果などをヒントに交配を繰り返し、2006年に「さらさらレッド」を開発。さらに品種改良を重ねて12年には病気に強く量産しやすい「さらさらゴールド」を開発した。