まだ十分なインフレ率に達していない現状の経済環境を考えると、当面、国債を財源として教育費無償化の支出を先行させて、将来、十分なインフレ率に達した段階で増税するという方針がいいのではないだろうか。

「社会全体で子どもを育てる」という意味でも、「投資として効率的だから教育により大きく資源配分する」という意味でも、「こども保険」と税金による一般財源とを比較すると、後者の方が妥当ではないだろうか。加えて、行政の効率を考えても、軍配は保険料よりも税金に上がると思われる。

 当面ということなら、ベストは「教育国債」、2番目は「増税財源」、3番目が「こども保険」で、インフレ率が上昇してきた段階では、「増税財源」を第一の選択肢にすべきではないか、というのが筆者の結論だ。

 なお、付け加えるなら、安倍政権及び野党の民進党の一部には、教育費の無償化を憲法改正案に盛り込むべきだとする意見がある。

 教育費の公的負担を増やすべきだとする立場からは、大筋ではいずれに対しても批判や反対はあるまい。

 ただし、「教育費の公費負担を持ち出して、他の条項も含む憲法改正案に賛意を得よう」とする主に与党の改憲派のアプローチは邪道と思える。一方で、野党(民進党)側では党内の憲法論議における異論の一部として、ことさらにこの点を強調する議員がいるようだが、結束すべき野党陣営としてこれも無益な争点作りに見える。

 憲法を変えなくても教育費は無償化できるし、憲法改正よりも早く教育費の無償化を推進すべきだ。教育費無償化と憲法改正とを組み合わせようとする考え方には違和感を覚える。

(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)