教育費無償化は「まず幼児期から国債を財源に」進めるのが妥当だ

 最近になって、教育費を無償化しようという議論が与野党で盛んなのだが、議論が錯綜している。

 まず、幼児期教育、あるいは高等教育、いずれの教育費の無償化が適当か否かという、教育費無償化に対する「対象」と「賛否」に、複数の組み合わせがある。初等教育と高等教育の2通りの教育費に関して、それぞれ無償化に賛成と反対の場合分けがあるので、合計4通りの意見の可能性がある。

 そして、さらに議論を複雑にしているのは、その財源を何にするかという財源論だ。大まかに言って、(1)教育費を目的とする国債で賄うべきだという「教育国債」論、(2)年金保険料に料率を上乗せして徴収しようという「こども保険」構想、加えて増税を好む財務省的な(3)所得税・消費税などの増税による「増税財源」論の3通りの意見が出されている。

 これらのうち、「こども保険」構想は国民的な人気が高く、安倍首相の次、またはその次の首相候補として名前が上がる小泉進次郞議員を中心とする自由民主党の若手議員たちが推していることで注目されている。先般発表されたいわゆる「骨太の方針」を見ると、いまだ正式に決まったわけではないが、安倍政権としては、「こども保険」構想に歩み寄ろうとしているようだ。