しかし今回示された内容は、私の予想をはるかに上回っていた。もう、泣くヒマもない。

 なお、基準部会のスケジュールによると、遅くとも12月には報告書が取りまとめられることとなっており、2018年度予算に反映されるものと見られる。

 引き下げのターゲットとして最も強く意識されていると見られるのは、子どものいる世帯、特に母子世帯であり、2009年に民主党政権が復活させた「母子加算」だ。

 今回は、子どものいる生活保護世帯がどのように狙い撃ちされているのかを、基準部会資料から見てみよう。

生活保護基準はいったい
何に比べて「高すぎる」のか?

 現在の生活保護基準は、1984年以来、「水準均衡方式」によって決定されている。生活保護世帯の消費水準を一般低所得層の消費水準と比較し、「均衡」を保つという方法だ。

 収入ではなく「消費水準」というところが重要な点の1つだ。というのは、生活保護基準はストックを前提としておらず、基本的にフロー100%だからだ。保護開始後、預貯金という形でストックを形成することは一応可能だが、実際にはさまざまな制約が設けられている。

 「消費水準を比較する」ということは、フローだけの生活保護世帯の家計と、ストックがある一般世帯の家計のフロー部分を比較するということだ。ストックを考慮せずに収入だけを比較するのはアンフェアすぎるのだが、「消費水準」を比較することにより、若干だがアンフェアさは緩和されることになる。もしも一般世帯のストックの効果が充分に反映されれば、「保護基準を下げるための議論」という突っ込みどころが全くない比較も可能かもしれない。

 では、比較によって目指される「均衡」とは、誰や何の「均衡」なのだろうか。理解するためには、比較対象が何なのかを知る必要がある。

 1984年以来、「一般低所得層」の目安として選択されてきたのは、日本の全世帯の所得を低い方から高い方へと並べたとき、世帯数で最下位の10%にあたる「第1・10分位」だった。第1・10分位の最上位は、貧困線と同等、あるいは若干上回ることになる。その下に生活保護基準があり、さらにその下には、生活保護以下の生活をする人々の家計がある。