1980年代の後半は、バブル経済期として我が国の歴史に刻まれているが、この時期の日本の生産年齢人口は、ほぼ1%増のレベルを維持し、米国や欧州の水準を上回っていた。戦後のベビーブーム世代(1947~49年生まれ)の子ども世代である第2次ベビーブーム世代(1971~74年生まれ)が15歳以上となったためだ。こうした人口動向を背景に、ちょうど生産年齢人口の増加率が低下していた米国や欧州とは対照的に経済がヒートアップ、この点が世界的にも目立っていた。

 その後の経済の長期低迷は、「デフレ経済期」あるいは「失われた20年」として記憶されている。この時期は、生産年齢人口の増加率がそれまでの横ばいから、急速な低下傾向に変化し、さらに1995年ごろに増加から減少に転じた後も、減少率がどんどん大きくなっていった時期に当たる。これだけの人口のメガトレンドを背景にして経済を好転させるのは、なんとしても難しかったからだとも捉えられる。

 2010年代に入ると、第1次ベビーブーム世代が65歳以上となり、減少率が2012年から2015年まで連続マイナス1.1%のボトムとなった。その後は、減少率は縮小傾向となった。ここ数年の経済好転を、アベノミクスによる政策の影響とするのは見せ掛けであり、こうした人口動向の転換点に当たったからだ見ることもできよう。

 図には表していないが、日本の公式推計である社会保障人口問題研究所の人口推計資料によって、過去と将来の生産年齢人口の増減率を描いてみると、各歳人口のばらつきがあるため毎年の変動がやや大きい。だが、増減率のレベルと推移パターン自体は、ほぼ図2と同じであることが確かめられている(ただし、出生率の仮定が国連推計より低いので、出生数が影響をもちはじめる2020年代後半以降は、減少率が図2より少し大き目となる)。

中国は低迷、米国は躍進
欧州ではドイツが厳しい

 日本以外に目を転じると、例えば、非常に高かった中国経済の成長率が最近、低下してきているのも、生産年齢人口の増加率が急速にゼロに近づいているためと見れば納得できる。中国はこれからマイナスが続くので、成長率はさらに低下すると予想される。

 中国は、一人っ子政策を長い間続けていた点で途上国としては特殊である。インドの出生率は中国より長らく高水準だったので、なお、生産年齢人口は高い増加率を継続しており、今後、2050年にやっとゼロに近づくと予測されている。