アルツハイマー病は、いつのまにか発症し、ゆっくりと進行します。発症前期で顕著なのは記憶力の低下です。この時期は本人ももの忘れを自覚していることが多く、不安になったり、恐れたり、イライラしたり、自分がわからないことを取り繕ったりします。嗅覚障害もレビー小体型認知症同様、早い時期から起こります。

 さらに時間や場所がわからなくなったり、食べ物の見分けがつかなくなったりするようになるのが中期。後期では、家族の名前や顔も認識できず、会話は成り立ちません。食事や排せつ、入浴などの手順もわからなくなり、日常生活に全面的な介助が必要になります。

症状が全く異なる4大認知症

 アルツハイマー病の次に多い脳血管性認知症は、脳出血や脳梗塞など脳血管性の病気や血管障害などにより発症します。比較的急に発症し、段階的に進行していくのが特徴です。病変の大きさや場所で症状は異なりますが、初期はアルツハイマー病ほど記憶障害が目立ちません。

 レビー小体型認知症の人の大脳皮質には、α-シヌクレインなど神経細胞内にあるたんぱく質が集積してできる「レビー小体」が蓄積されています。初期症状は、幻視や妄想、便秘、抑うつなどで、ある程度認知機能障害は保たれています。手の震え、小刻み歩行、筋肉硬直などの「パーキーソン症状」、大きな寝言などの睡眠行動異常症もみられます。その場にいない人が見える「幻視」は5人に1人が症状を訴えます。レビー小体型認知症においては中核症状と言ってよいでしょう。

 感性や理性などを司る前頭葉や側頭葉の萎縮が見られるのが、前頭側頭型認知症です。性格変化と行動異常が特徴で、同じ行動を繰り返したり、また万引きをしたり、暴力をふるったりするなどの社会規範を無視した行動を起こすこともあります。発症率は認知症全体の約1%と症例が少なく、研究が進んでいない認知症の一つです。