保険会社が売り込むがん保険は、
「儲かってしかたのない商品」ではないか

 そこで引っかかるのが「がん保険」です。「がん保険」を各社がお客様にお勧めする姿勢は、危険職種の方々への対応や、自殺者への保険金支払いについての対処等とはまったく逆だからです。

 ボクサーやレーサーには、保険金を支払う可能性が高いということで、あらかじめ加入を断ることにしているのに、がんについては「いまや国民病と呼べるくらい、身近な病気です。弊社はがんと闘う人たちを応援します!」などと、熱く加入を呼びかけているのです。「多発しそうな事態」への対応としては正反対です。

 なぜ、こうも「がん保険」ばかりに力が入っているのでしょうか。おそらく、正反対の対応をするからには、正反対の事情があるのだと想像されます。つまり、「がん保険」は保険会社にとって、保険金を支払う可能性に比べ、かなり高い売り上げが見込める「儲かってしかたがない商品」なのではないか?と考えると、納得がいくのです。

 保険会社は、「がん保険」の保険料に占める広告費・人件費・代理店手数料など経費の割合や、保険金の「支払い実績」をほとんど開示していません。つまり商品の「コスト」も「パフォーマンス」も明らかにしていないわけです。

 したがって、私が言っていることは推察に過ぎません。それでも、間違いなく言えるのは、がんに罹る可能性や罹患時の経済的なリスクが「他人事ではないと感じられること」と、「がん保険」という商品の購入が「妥当な選択」であるかどうかは、まったく別の問題だ、ということでしょう。

 巷間、巨額の広告宣伝費を投じて伝えられているのは、罹患率の高さや、先進医療を受けた際の自己負担額が300万円程かかる事例など、お客様を不安にさせる材料ばかりです。反面、実際に保険が役に立つ度合いなどを測るための判断材料は何もありません。

 (仮の数字ですが)「発売以来、20年間で契約者数500万人中、50万人に保険金が支払われました。20万円程度から400万円を超えるケースまで、さまざまですが、分布は別紙のとおりです」といった情報提供を行っている会社は皆無です。ただ、「契約件数がXX万件突破!」といった発表が目立つばかりです。